1986 Fiscal Year Annual Research Report
中国山地における資源利用体系と土地有構造の動態変化に関する実証的研究
Project/Area Number |
60480072
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
永田 恵十郎 島根大, 農学部, 教授 (10144693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 晴基 島根大学, 農学部(農山村地域開発学), 講師 (10032559)
北川 泉 島根大学, 農学部(林業経済学), 教授 (60032546)
猪股 趣 島根大学, 農学部(農業市場経済学), 助教授 (70032555)
平塚 貴彦 島根大学, 農学部(農業経営学), 教授 (90032606)
岩谷 三四郎 島根大学, 農学部(農業市場経済学), 教授 (50036282)
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Keywords | 土地所有 / 地域資源 / 地域農業 / 過疎問題 / 農林業生産力構造 |
Research Abstract |
1・本研究の課題を解明するための方法および調査結果等を検討するための研究会を、毎月1-2回行った。とくに農業経済学的手法と林業経済学的手法の調整・統合に留意し、農山村地域の農林業生産力構造を具体的に把握する手法の開発に努めた。9月には研究会合宿を実施し、各自の調査結果をもとにして、全体の研究方向と構成を再検討するとともに、研究分担を再調整した。 2.本年度の調査研究は、前年に引き続き島根県下の三河川(斐伊川、江の川、高津川)流域を主たる対象地域として実施するとともに、山林サイド(所有,植生,利用)からも地域類型化を試みた。林産物利用の側面から検討を加えた研究によれば、島根県は人工造林の後進地であり、〔やせ地-粗放的略奪的経営-松林-松材利用〕によって特色づけられるが、さらに、たたら→薪炭生産→造林という展開をたどり人工造林の相対的先進地になった出雲部と、小規模なたたらはみられたもののむしろ一貫して薪炭生産が中心であり、その後産業資材(パルプ,杭木等)利用を経て近年やっと造林が緒についた石見部とに大別されることがわかった。また山林における所有と利用の対抗関係という視点から中国山間地域の類型化を試みた別の研究によれば、近代の山林利用とくにその農民的利用(農業,畜産,林産物持取)は山林所有=鉄山経営に強い規制をうけており、その規制力の強的と農民的商品生産の展開度に対応して少くとも5つ地域類型が検出されることがわかった。他方現状における農山村資源の最大限利用と生産力構造の再編という視角からの事例調査によれば、多くの地域でそのキーをなすのは山林(とくに里山)の利活用であり、当該地域の歴史的蓄積に立脚しつつ山林の所有,利用関係の抜本的再編が必要となっていることが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 永田惠十郎: 農林統計調査. 36-1. 21-25 (1986)
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[Publications] 永田惠十郎: 農林統計調査. 36-2. 43-47 (1986)
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[Publications] 永田惠十郎: 農林統計調査. 36-5. 38-42 (1986)
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[Publications] 永田惠十郎: 農村工学研究. 41. 37-48 (1986)