1986 Fiscal Year Annual Research Report
発育過程における生体の「揺らぎ現象」の年齢特性に関する研究
Project/Area Number |
60480248
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
小川 昭之 大分医大, 医学部, 教授 (10039810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石和 俊 大分医科大学, 医学部, 助手 (50159787)
鈴木 正義 大分医科大学, 医学部附属病院, 助手 (50171252)
中下 誠郎 大分医科大学, 医学部, 助教授 (10136640)
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Keywords | 生体揺らぎ現象 / 発育過程 / 自己回帰解析 / 要素波解析 / 脳波活動 / 直立姿勢調節活動 / 心拍間隔時系列 / 年齢特性 |
Research Abstract |
脳波、心拍動、姿勢などの制御系の揺らぎ現象に自己回帰解析を施し、そのなかに潜む動的活動の年齢特異性を明らかにすることを目的として、昨年度にひきつづき次の実績をえた。 1 脳波解析による正常小児脳の発達現象に関する研究 学童で、各年齢群200名ずつを選び、左右前頭、中心、後頭部脳波の周波数、パワー、減衰時間の持続性、情報活動量などの諸特性を求め、本年度は特にα波の諸特性の部分的、年齢的変化を定量的に明らかにした。ついで、すでに開発した自己回帰モデルを応用した脳波の2次元表示の手法を用いて、互いに有意差のない脳波群からなるいくつかの2次元脳電図の平均パタンを図示する方法や、2つの2次元脳電図を比較して5%ないし1%の危険率で有意差のある部分を図示する方法を開発した。また、正常児群と自閉症児群との大脳誘発電位を比較し、自閉症の大脳誘発電位の特性を明らかにした。 2 直立姿勢調節活動の揺らぎの解析と、その発達特性に関する研究 健康学童455名を対象として、前後軸、左右軸の揺らぎ曲線を磁気記録、AD変換し、自己回帰パワースペクトルを求めた。その結果、前後軸では閉眼で7個の、開眼で9個の、左右軸では開閉眼ともに6個の、それぞれ1%の有意差で周波数帯域に分けられることを明らかにした。 3 心拍変動の揺らぎの解析と、その発達特性に関する研究 任意の時刻の心拍変動はそれ以前の過去の刻々の拍動状態の歴史に確率的に関連する面としない面とがあるので、拍動周期の時系列も自己回帰を示す。そこで、出生4時間後より日齢6日に至る健康新生児20例のR-R間隔時系列を求め、自己回帰を施すと日齢5より要素波は0.05、0.1〜0.3、0.4cycles/beatの3個の周波数帯域に分けられ、それぞれ、体温、血圧、呼吸の中枢から影響をうけていることが示唆された。
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[Publications] 小川昭之,松原美保,水谷馨子,三股栄子: 日本小児科学会雑誌. 90. 1362-1369 (1986)
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[Publications] 小川昭之,三股栄子,水谷馨子,松原美保: 日本小児科学会雑誌. 91. (1987)
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[Publications] T.Ogawa,H.Sonoda,H.Ohki,K.Sato,J.E.Vos,H.F.R.Prechtl: Pediatric Research. 21. (1987)
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[Publications] 小川昭之,鈴木正義,水谷馨子,三股栄子: 厚生省神経疾患研究委託事業昭和60年度研究報告書 昭和60年度. 76-80 (1986)
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[Publications] 小川昭之,園田浩富,石和俊,古城昌展: 脳波と筋電図.
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[Publications] T.Ogawa,M.Hida and M.Suzuki: Brain & Development(proceeding). 8. 124 (1986)