1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60540482
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
常木 和日子 島根大, 理学部, 助手 (10127459)
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Keywords | 脊椎動物 / 魚類 / 系統発生 / 小脳果粒細胞 / 細胞核の大きさ / 松果体 / 血管嚢 |
Research Abstract |
1.神経細胞の核径の進化。魚類から哺乳類まで約90種において、小脳果粒細胞の核径を測定した。魚類では、肺魚類,板鰓類,全頭類,軟質類,腕鰭類,全骨類,真骨類の順序で核径が小さくなる。四足類では、有尾類,無尾類,爬虫類,哺乳類,鳥類の順序で核が小さくなる。核が小さくなる程、相対的に表面積は大きくなるので、核が小さい方が代謝的に有利である。従ってこの点では、真骨魚類と鳥類が最も進化した脊椎動物ともいえる。また核の小さい動物群ほど種類数が多く、系統発生的には新らしい群であり、さらに個体発生の進行も早いといった傾向がうかがわれる。例外もあるが、核の大きい動物群はよりK淘汰的、核の小さい動物はよりr淘汰的であるということもいえそうである。以上の結果は、裏面の最後に記した論文として発表した。 2.松果体のない硬骨魚。先に淡水産弱電魚のジムナルクスには松果体が全くないことをみつけた。その後、各種の弱電魚,強電魚の脳の組織切片を作成したが、松果体のない魚種はみられなかった。従って、松果体の欠損と発電との間には直接の関係はなさそうである。魚類では松果体は光感受器官としても働いているので、現在、松果体の退化と眼の退化との間に関連があるかどうかを調べている。 3.血管嚢のない硬骨魚。先に一部の淡水魚の脳には血管嚢がないことをみつけた。しかし海水起源の淡水魚は、普通大きな血管嚢を持っているし、また一次性淡水魚と思われる魚種でも、血管嚢が退化していない場合もあった。さらに純海水魚でも、表層遊泳性のものでは、血管嚢に退化傾向がみられた。血管嚢の存否やその発達程度には、それぞれの魚種の系統や生息環境が関係しているのは明らかだが、その関連は単純なものではないことがわかった。今後、この点を明確にしたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tsuneki,K.: Journal fur Hirnforschung. 27. 441-470 (1986)
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[Publications] Tsuneki,K.: Japanese Journal of Ichthyology. 33. 27-38 (1986)
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[Publications] Tsuneki,K.: Zoological Science. 3. 885-892 (1986)