1985 Fiscal Year Annual Research Report
局所ハイパーサーミア用無侵襲生体制御加温装置の試作
Project/Area Number |
60850079
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森 真作 慶応義塾大学, 理工, 教授 (00051269)
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Keywords | ハイパーサーミア / マイクロ波 / 生体加温 / アプリケータ / レンズ |
Research Abstract |
癌治療におけるハイパサーミアでは、無侵襲で生体内深部の加温をすることが望まれている。本研究では予めCT等により位置の同定が行われている癌患部に対して、マイクロ波を用い適切な加温を施すため、加温パターンの可変ができ、また選択的加温を行うことができるアプリケータ(生体に電磁波を照射するアンテナ)を開発した。またこのアプリケータを用いて最適加温が行われるようにマイクロコンピュータにより制御されたハイパサーミア用加温装置を開発した。さらに開発した装置を用いた場合の加温媒質内部の温度分布解析を行った。 従来から一般にマイクロ波を用いた生体加温では、加温の深度はせいぜい数cm程度であると言われており、これにより無侵襲マイクロ波ハイパサーミアの限界が規定されていたが、今回開発したアプリケータは放射される電界に対し一種のレンズ作用を有することから、加温の最大深度は4.30MHzを用いた場合7cm以上となり、従来の2倍以上、加温の範囲を広げることに成功した。また、開発したアプリケータは焦点位置を変化することができるため、加温の深さおよび範囲を自由にコントロールできるものであり、アプリケータ単独でこのような機能を有するものは、本研究によるものが初めてである。 開発したアプリケータを用いた制御加温装置は2450MHzを用いたものおよび430MHzを用いたものがあり、各々比較的浅部加温用、深部加温用とに用途を分けることができる。加温対象となる部位の温度の制御性は2450MHzを用いたものでは±0.3℃、430MHzを用いたものでは±0.5℃と制御性が優れている。また、加温媒質の表面は装置から供給される表面冷却用水によって患者への苦痛を排除するよう設計されている。また開発した装置は加温開始時からハイパサーミア温度に達するまでの温度上昇レートをコントロールすることができ、臨床応用可能なハイパサーミア装置として、非常に有効なものである。
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[Publications] IEEE Trans.Microwave Theory Tech.MTT-34-No.5. (1986)
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[Publications] 医用電子と生体工学. 第24巻-特別号. (1986)
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[Publications] 昭和61年度電子通信学会総合全国大会講演論文集. (1986)