1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60870022
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Research Institution | The Japan Snake Institute |
Principal Investigator |
沢井 芳男 (財)日本蛇族学術研究所, その他, その他 (70072288)
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Keywords | ヤマカガシ / ウサギ / 抗毒素血清 |
Research Abstract |
ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)は我国ではごくふつうに見られるが、最近このヘビに咬まれ、全身性の出血及び血液凝固阻止等を呈する死亡例が発生した。これを契機としてわれわれはヤマカガシ毒に対する抗毒素血清の開発をすすめた。まずヤマカガシのドウベルノイ腺を摘出し、これを磨砕して抽出した毒液を凍結乾燥し、4mg/mlの毒液を2%ホルマリンでトキソイド化し、毒量4mgに同量のフロインドアジュバントと共にウサギに皮下注射し、4週後にトキソイドのみを1週間隔で2回、さらに生毒を4回注射し、全採血を行って27匹のウサギカラ1676mlの粗血清を得た。血清の精製にはまず粗血清の蛋白量を5%に調製し、硫酸ナトリウム飽和溶液を70%に加え、37℃、2時間放置した後、6000rpm15分遠心、その沈澱を17%の硫酸ナトリウム溶液で2回洗淨遠心し、その沈澱をトリス塩酸緩衝液1800mlに溶解し、この溶液に硫酸ナトリウムを15%に加え、38℃、30分放置後に遠心した沈澱を上記の緩衝液に再溶解し、同様の操作を繰り返した後の沈澱を生理食塩水に溶解し、流水透析を行って脱塩した。これに食塩、石炭酸、マーゾニン、グリシン等を添加して600mlの精製血清液を得た。さらに蛋白量を2.5%に調製し、さらに生物学的製造基準により、無菌、安全、発熱試験及び力価試験を行った後、10mlずつ分注して凍結乾燥した。マウスに対する中和試験の結果、精製血清0.2mlは120μg(48mld)のヤマカガシ毒を中和した。従って本血清10mlはヤマカガシ咬症の重症例の治療に用いて十分な効果が得られるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)