1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61430005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 好正 東大, 物性研究所, 教授 (10080467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃原 浩 東大物性研, 助手 (80080472)
渡部 俊太郎 東大物性研, 助教授 (50143540)
寺倉 清之 東大物性研, 助教授 (40028212)
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Keywords | 金属表面吸着 / 吸着子の電子励起状態 / 光刺激イオン脱離 / 多光子共鳴イオン化 / 波長可変ArFエキシマレーザー |
Research Abstract |
インジェクションロッキングのエキシマレーザーとラマンシフターを組み合わせて、ArFIキシマレーザー領域(〜193mm)で波長可変化しNO分子が吸着した金属表面に照射し、2光子共鳴イオン化法による吸着NO分子の電子励起状態を測定する準備をした。193mmの光は金属の仕事関数とNOの電子状態の第1励起準位よりエネルギーが大きいので、高密度励起による吸着分子のイオン脱離が期待できる。今年度はインジェクションロッキングのエキシマレーザーの購入、高圧ガス用ラマンセルの製作、表面での光イオン化を行うための超高真空装置の整備を行った。また、予備的な測定も行った。波長可変化していないArF(193mm),KrF(248mm)エキシマレーザーにより、イオン脱離の測定を行った。試料はNOを吸着させたPd金属多結晶箔を用いた。レーザー照射により、イオン脱離が観測されたが、脱離イオンの挙動がおかしいので、3000【V】に脱離イオンを加速し、簡単な飛行時間法を作り、質量分析を行った。その結果脱離イオンは【Na^+】が主で、入射光の波長依存性,フォトン数依存性から、不純物としてごく微量に存在するNa【Na^+】が熱脱離により放出されたものと思われる。しかし、【Na^+】がいつまでもなくならないという困った現象があり、これは多結晶箔に特有なことであろう。あるフォトン数以上になると、【Pd^+】の放出が観測された。これは高密度励起によるイオン脱離と考えられる。これらのことより、単結晶試料を用い、励起光を波長可変にし、共鳴励起の条件下で観測するとNOのイオン化脱離が十分観測できる見込みが出て来た。また現在、飛行時間法の測定システムをreflectron法やトランジェントメモリーを用いることにより、質量分解能、検出効率の向上をはかっている。また、波長可変にしたしレーザーの波長の較正のための、気体NO 物理吸着系NOを用いた多光子イオン化の準備をしている。
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