1988 Fiscal Year Annual Research Report
食肉筋原線維構成蛋白質の化学的性質と食品特性:ゲル形成反応メカニズムの解析
Project/Area Number |
61430025
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安井 勉 北海道大学, 農学部, 教授 (20001373)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 邦彦 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (10048100)
|
Keywords | ミオシンの熱ゲル化反応 / 心筋ミオシン / 白色筋ミオシン / 赤色筋ミオシン / ミオシンフィラメント形成能 / 熱ゲル化特性 / ミオシン分子断片のゲル化 |
Research Abstract |
1.ブタ心筋ミオシンとウサギ骨格筋ミオシンを開いて、その熱ゲル化反応に関する比較研究を行なった。0.6MKcl、pH6.0及びpH5.4の条件でミオシンのSH基、アクチンのε-NH_2基を化学修飾して反応させると、pH6.0におけるアクトミオシンの熱ゲル化反応は心筋、骨格筋のいずれの場合も抑制される。しかし、pH5.4の条件では心筋ミオシンの熱ゲル化反応は化学修飾の有無にかかわらず、アクチンの存在下では阻害される。これらの結果は心筋ミオシンが0.6MKcl、pH5.4の条件でフィラメントを形成し、骨格筋ミオシンの0.1MKcl、pH6.0における熱ゲル化反応と同様の挙動を示すらしいことを示唆している。2低イオンの強度(0.1)におけるウサギ骨格筋ミオシンのフィラメント形成と、加熱ゲル形成との関連を電子顕微鏡を用いて調べた。精製ミオシンのフィラメント長をイオン強度低下速度を変化させて調節し、異なった長さのミオシンフィラメントの熱ゲル化反応を形態学的に観察した結果、ミオシンフィラメントゲルのゲル強度は加熱前のフィラメント長に依存し、短しフィラメントは既報のモノマーゲルと類似した凝集型の網目構造であり、長さが長くなるにつれて繊維型構造へと移行すること、及びその加熱中の凝集挙動も異なることが判明した。3.ニワトリの白色筋、赤色筋ミオシンはpH5.4付近で、白色筋ミオシン》赤色筋ミオシンという加熱ゲル強度上の著しい差を示す。その分子レベルにおける原因研明が前年度に続いて行なわれた。イオン強度0.6、pH5.4でみられるミオシンアイソマー間の加熱ゲル強度の差は、この条件下での両ミオシンのフィラメント形成能と密接に関連し、その主因は両ミオシン分子の尾部の性質に由来することが明らかになった。一方頭部断片は加熱により凝集沈殿する。ミオシン分子種ごとに異なる分子尾部のフィラメント形成能力を今後比較検討することによって、上記三結果を統一的に説明できる基磯理論が導びかれるであろう。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 鮫島邦彦: 日本農芸化学会誌. 62. 892-895 (1988)
-
[Publications] Yamamoto,Katsuhiro: Agricultural and Biological Chemistry. 52. 1803-1811 (1988)
-
[Publications] Choe,Il-shin: Agricultural and Biological Chemistry. 53. (1989)