1988 Fiscal Year Annual Research Report
上気道粘膜病変に対する温然療法に関する実験的ならびに臨床的研究
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61440073
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大山 勝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70024677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 茂 鹿児島大学, 医学的附属病院, 講師 (80128454)
昇 卓夫 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (40094164)
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Keywords | Nd:YAGレーザー温熱作用 / アラキドン酸カスケード代謝物 / ヒドロキシプロリン / 局所温熱エアロゾル作用 / 鼻粘膜誘発試験 / 鼻茸 / 鼻アレルギー / 癌 |
Research Abstract |
1.局所レーザー温熱作用に関する研究:A.実験的研究;ヒト喉頭癌移株(HEPES)由来細胞4000個を各種温度環境(37℃、39℃、41℃、43℃)下でNd:YAGレーザー照射を試みた場合、41℃ならびに43℃温熱環境下の細胞群でそれぞれ増殖が有意に阻止されることが判明した。また、ヌードマウスに移植したヒト甲状腺癌に対するレーザー温熱効果は、抗癌剤とくにシスプラチンの併用で著明に増強することも証明された。これらの肉眼的所見は、病理組織学的観察成績によっても裏付けられた。一方、レーザー温熱部周辺の正常皮膚組織では、細胞傷害像は皆無に近く、生化学的にも温熱8日目にはPGE_2や、HETE'S類の側定値は対照群と大差なく、コラーゲンの構成アミノ酸の一種、ヒドロキシプロリン量も正常値に近似していた。B.臨床的研究;接触型Nd:YAGレーザー手法で組織表面上から照射可能なセラミックスプローブを開発し、従来の刺入照射型のプローブを用いたレーザー温熱の効果を比較検討した。その結果、上気道粘膜の局在性白班症や前癌病変に対しては、組織表面温熱照射が技術的に容易であり、臨床効果も優れていた。病巣で周辺の健常組織におけるレーザー温熱作用も極めて較徴であった。一方、鼻茸、肥厚性鼻炎、さらには上気道の小さな癌病巣では、刺入照射法が有用であった。上気道粘膜の炎症、アレルギー、癌に対する新しいレーザー温熱療法の基礎が確立され、臨床応用への道が開かれた。 2.局所温熱エアロゾル作用に関する研究:鼻アレルギー症例で局所温熱エアゾル投与のアレルゲン鼻粘膜誘発試験におよぼす作用を検討した。その結果、誘発による臨床症状の著しい軽減と鼻汁中好塩基球の遊出や脱顆粒の阻止傾向が窺われた。またPGD_2による鼻粘膜反応を顕著に抑制した。鼻アレルギーやスギ花粉症患者の治療や予防効果に活用し、好成績が得られている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 昇卓夫,森山一郎,上野員義,宮崎康博,大山勝: 日本臨床. 45(4)別冊. 202-207 (1987)
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[Publications] 森本一郎,昇卓夫,上野員義,廣田常治,宮崎康博,大山勝: 日本レーザー医学会誌. 7(3). 31-32 (1987)
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[Publications] 大山勝,昇卓夫,島哲也,森山一郎: 日本レーザー医学会誌. 6(4). 21-25 (1986)
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[Publications] 矢野博美,吉田茂,大山勝: 日本鼻科学会会誌. 24(1). 82-83 (1986)
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[Publications] 大山勝,吉田茂,矢野博美,宮崎康博,坂本邦彦: 病態生理. 7(5). 414-417 (1988)
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[Publications] 大山勝,宮崎康博,吉田茂,矢野博美 他: 耳展. 31補2. 133-146 (1988)