1988 Fiscal Year Annual Research Report
精神薄弱児の時間分別能力:マスキングにおける誘発電位の潜時の変動を指標とした分析
Project/Area Number |
61450009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北島 象司 北海道大学, 教育学部, 教授 (50000633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古塚 孝 北海道大学, 教育学部, 助教授 (30091490)
狩野 陽 北海道大学, 教育学部, 教授
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Keywords | 注意配分 / プライミング / 精神薄弱 / 精神分裂病 |
Research Abstract |
前年度(昭和62年度)の研究実績を基礎として、被験者数の増大と欠落データの補充のための実験を行なった。それらのデータの分析を実施し、報告書を作成し印刷した。 第1部門(注意転換)の実験について。(1)精神薄弱児の典型的な例について事例史的実験を実施した。典型例の第1は衝動性の希薄な精神薄弱児、第2は衝動性の多いタイプであった。(2)分裂病者のタイプ別たとえば解体型(破瓜型)と妄想型についてそれぞれの症例の増加を推進した。結果:(1)非衝動型の精神薄弱児は、具体的な注意手がかり(数字を探して読め、のように教示する)がある場合には、ターゲットに注意しノンターゲットにはは注意しない、という注意の統制が可能である。(2)しかし彼は、まえとかうしろを手かがりとして注意を統制することができない。(3)衝動性のつよい精神薄弱児では、提示される刺激の全てに反応して、『数字ともよう』と報告し、その直後に『3』と『6』のように報告する。これらの結果が示すことは、視覚注意と反応選択の分離である。 第2部門(記憶のプライミング)の実験について。(1)精神薄弱児を被験者としてプライミング効果を測定した。反応時間(対象を命名するのに要する時間)および誘発電位N400を分析した。(2)同じ手続を用いて健常者群の実験を実施した。結果:精神薄弱児のN400の分析は、眼球運動、体動、筋電位の混入のため非常に困難であった。反応時間の分析によると、(1)精神薄弱児では反応時間が長くなり分散も大となること、(2)プライミング効果が見られること、が判明した。しかしN400の分析ができなかったため、プライミングの内部過程の推定ができなかった。
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Research Products
(1 results)