1986 Fiscal Year Annual Research Report
行動の個体差の発現機序に関する行動遺伝学的・生理生化学的・生態学的研究
Project/Area Number |
61450010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 統 筑大, 心理学系, 教授 (50015426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 宏 筑波大学, 心理学系, 助手 (50177466)
牧野 順四郎 筑波大学, 心理学系, 助教授 (60015443)
岩崎 庸男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (70092509)
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Keywords | 情動反応性 / 選択交配 / 神経伝達物質 / 行動遺伝分析 / 野生化 |
Research Abstract |
1.Tsukuba情動系ラットとそのF1,F2,B1,B2を用いてランウェイテストの諸測度について古典的遺伝分析を行ったところ選択指標である移動活動量で雄雌ともにTHEにドミナンスが見いだされた。 2.Tsukuba情動系ラットを用いた環境と遺伝の交互作用に関する分析では、味覚嫌悪学習において実験場面の外的環境刺激操作が両糸の学習に明確な差異を引き起こさないことが確認された。また、従来情動と関連が深いとされてきたホーディング行動については、環境場面への慣れが重要な要因となっており、慣れが十分でない場面ではTHE<TLE、一方慣れが十分な場面ではTHE>TLEと順位が逆転した。 3.Tsukuba情動系ラットの脳内生化学物質の定量を行ったところAD濃度については視床下部を始めとして脳内の各部位でTLE系の方が高濃度であった。セロトニンおよびセロトニン代謝産物についてもTLE系が高かった。DA濃度については有意な差異は皮質前部のみに認められたが、その他の各部位でもTLE系高値の傾向が見られた。行動を指標として選択された2系でこのような生化学的差異が見いだされたことは行動におよぼす脳内生化学物質の役割を知る上で重要な知見がえられたと考える。 4.Tsukuba情動系ラットを野外人エフィールドにおいて放飼状態で行動観察した実験からは、ラットはその自発活動リズムに関して従来知られてきた単純な夜行性リズムではなく日照時間,気温,天候などにより随時変化する活動リズムを持っていることが示された。 5.ガラス製のラットの地下行動観察装置を作製し、Tsukuba情動系ラットの穴掘り行動を観察した。ラットは10日後には装置低部を一周する地下道を完成させた。またこの実験からこの地下行動観察装置の大きさと仕様が地面下の観察に適切であることが確認された。
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