1987 Fiscal Year Annual Research Report
白閉児・発達障害児教育診断検査(PEP)日本版の標準化のための研究
Project/Area Number |
61450011
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
茨木 俊夫 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (50015442)
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Keywords | 自閉症 / 病理尺度 / PEP / ショプラー / 茨木 / CARS |
Research Abstract |
本年度は, 自閉児・発達障害児教育診断検査(PEP)の病理性尺度の標準化を行うことを目的とし, 多くの症例でPEP病理性尺度を検討した. 検査対象は5歳から8歳までの男女の自閉症児で, 医学的(心理学的)診断によって「自閉症」「自閉的傾向あり」という資料を有するものとした. 発達レベルもPEPの発達尺度で2歳以下,2歳,2歳6ヶ月,3歳,3歳6ヶ月,4歳,4歳6ヶ月,5歳,5歳6ヶ月,6歳の各段階に相応する者として選んだため, 検査地点も予定より拡大せざるを得なかった. 予定した, 東京都, 埼玉県, 静岡県, 岡山県, 青森県の他, 札幌市及び福岡市を加え, 男女40名のサンプルを得ることができた. PEPの病理性尺度を分析した結果,病理性尺度には(1)発達レベルと課題のレベルにギャップのある時に生ずる反応と(2)発達レベルそのものとは直接関係なく, 自閉症の症状そのものに由来する反応とがあり, 前者は課題レベルを低下させることによって病理性を抑制することが可能であるのに対し, 後者は自閉的行動を抑制するための特殊な配慮が必要であることが明らかになった. このことは, 病理性研究のためのさらに厳密な尺度の開発が必要であることを示唆するものであり, CARS(Childhood Autism Rating Scale)の日本版化を通じて, より詳細な病理性の検討が求められる. 次年度へのステップとしてCARSとの関連性が検討できるよう, CARSの実施手引作成の基礎的作業も進めることができたことは, 本年度のもう一つの収獲であった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 茨木俊夫;服部純一;加藤哲文: 埼玉大学紀要教育学部. 35. 1-19 (1987)
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[Publications] 茨木俊夫: PEPジャーナル. 1. (1988)
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[Publications] E.ショプラー;茨木俊夫: "自閉児・発達傷害児教育診断検査(PEP)" 川島書店, 295 (1987)