1988 Fiscal Year Annual Research Report
人工擾乱に対する電離圏、磁気圏プラズマの非線形応答の計算機シミュレーション研究ー電子ビーム・イオン雲放出、テザーV×B・大型衛星の電位変動に伴う非線形特性ー
Project/Area Number |
61460049
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松本 紘 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (00026139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 善治 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (50177002)
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Keywords | シャトル・テザー系 / LHR波 / UHR波 / プラズマ-物体相互作用 / 二次元電磁粒子コード |
Research Abstract |
本年度は研究計画の最終年度に当り、次の研究成果を得た。 二次元電磁粒子コードを改良し、内部導体の境界条件を解くアルゴリズムを完成させた上、外部境界においても完全自由境界比を行なった。この改良二次元電磁コードを用い次の二つの研究テーマについて計算機実験を実行した。 1.シャトル電磁力学テザーシステムに関する計算機実験。この実験においては、シャトルから伸ばされたテザーが地球磁界を横切る時に発生するV×B電圧で駆動される電子ビームの挙動とそれによって発生するプラズマ波の特性が調べられた。その結果、新しい知見としてシャトルテザー系より発せられる電子ビームは磁力線に垂直に打ち出されてもテザー発電に起因するシャトル本体の電位低下に基づく電界の影響でシャトルの後方に雲状に停留することが示された。この電子雲の周辺に強いドリフト電子電流が流れ、その結果電子雲周辺に局在するLHRブラズマ波が強く励起されることが明らかにされた。 2.高速希薄プラズマ中に置かれた人工衛星周辺のプラズマの力学的挙動とその結果励起されるプラズマ波に関する計算機実験が行なわれた。マッハ数が1より大きい高速希薄プラズマは磁気圏尾部のローブ領域とシート領域の境界層にしばしば見い出される。この領域ではデバイ長が50m〜100mにも達するためGEOTAILのような2m程度の大きさの人工衛星が作る人工擾乱の性質は電離圏のように物体の大きさがデバイ長よりずっと大きい場合に比べ全く異なる挙動を示すことが示された。また航跡部分は大きく物体の後に尾を引きその周辺にUHR波が強く励起されることも示された。光電子の影響についても調べられた。 以上の二項目以外に前年度の研究の取まとめ、論文発表が行なわれ、当該年度は最終年のため全研究期間の成果のまとめも行なわれた。
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[Publications] Y.Omura: J.Geomag.Geoelectr.40. 949-961 (1988)
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[Publications] Y.Omura: Geophys.Res.Lett.14. 319-322 (1988)
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[Publications] H.Matsumoto: Adv.Space Res.8. 151-155 (1988)
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[Publications] H.Matsumoto: J.Geomag.Geoelectr.40. 269-292 (1988)
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[Publications] Y.Omura: Computer Physics Communications. 49. 133-142 (1988)
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[Publications] 松本紘: "人工擾乱に対する電離圏・磁気圏プラズマの非線形応答の算計機シミュレーション研究ー電子ビーム・イオン雲放出・テザーレV×B・大型衛星の電位変動に伴う非線形特性ー昭和63年度科学研究費補出金(一般研究(B))研究成果報告書" 1-221 (1989)