1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61460069
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大泊 巌 早稲田大, 理工学部, 教授 (30063720)
|
Keywords | 熱酸化膜 / 界面構造 / モデリング |
Research Abstract |
基板面方位の違いによるSi/Si【O_2】界面の構造的性質の変化を調べるために、平坦な(100),(110),(111)面を界面として持つような界面構造のモデルを作成し、界面に生じる歪エネルギーの基板面方位依存性を調べた。歪エネルギーの大きさは、(100)→(110)→(111)面の順に小さくなった。これは、結晶Si表面から出ている未結合手の数と方向が、各面方位によって異なることに起因している。この結果は、HRTEM写真において、(111)界面が比較的平坦であるのに対し、(100)界面には凹凸が多く見られることに良く一致した結果である。歪エネルギーの大きな(100)界面では、急峻で平坦な構造をとりにくいものと思われる。そこで、上の結果をもとに、(111)ファセットで囲まれた、数原子層の高さを持つ結晶Siの凹凸のある界面構造のモデルを作成した。界面に生じる歪エネルギーは、平坦な(100)面の場合に比べて大きく減少する。又、HRTEMのシミュレーションでは、実際の界面を観察したときに見られる界面の凹凸が再現される。アトム・プローブで観察されたSiO遷移領域もこの凹凸によって再現出来た。界面に【Si^(nt)】原子が存在することは、XPS等の実験で数多く報告されているが、以上のような急峻な界面構造では、実験で報告されているような【Si^(nt)】原子の比が実現出来ないので、界面に【Si^(nt)】原子を含んだ界面構造のモデルを作成した。(100)界面の歪エネルギーは、この構造によっても低下させることが出来る。しかし、界面の凹凸やSiO領域は再現することが出来ない。以上の事から、Si/Si【O_2】界面の構造について以下の事が予想される。界面の形状は、面方位によって異なり、(111)界面は平坦であり、(100)界面は2種類の界面構造の混成状態となっているものと思われる。今後は、プロセスによって異なる界面の形状の、もっと詳細な解析を行なっていくことが必要である。
|