1987 Fiscal Year Annual Research Report
超導電性および生体高分子の電子状態の摂動理論の確立とその高分子設計への応用
Project/Area Number |
61470009
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今村 詮 広島大学, 理学部, 教授 (70076991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諌田 克哉 広島大学, 理学部, 助手 (10169790)
大作 勝 広島大学, 理学部, 助手 (70033884)
斉藤 昊 広島大学, 理学部, 助教授 (00033853)
|
Keywords | 周期性高分子 / 非周期性 / スーパーセルの方法 / 繰り込み摂動法 / ドーパント / ハートリ・フォック法 / Ab Initio法 |
Research Abstract |
本研究の概要:現在世界的に周期性高分子が小分子と相互作用したときに電導性が大きくなるという実験結果が報告されている. 一方, 理論的には周期性高分子の一部に非周期性が加わった場合の取り扱いが確立していない. そこで, 本研究では, 我々が以前から提唱してきたスーパーセルの方法と, 繰り込み摂動法を組み合われて, 非周期性に対する計算方法を確立しようとするものである. 本年度の進行状況:昨年度までは, 上記の方法を拡張ヒュッケル法のレベルで計算する方法を確立し, ポリアセチレンの系に適用して良好な結果を得た. そこで, 本年度はこの方法を, Ab Initio法のレベルで計算する方法の確立を試みた. すなわち, 高分子の系に対するハートリ・フォックの式での摂動を, ドーパントなどの小分子と高分子の間の相互作用に基づく積分による項と, この相互作用の結果ひきおこされる電荷の変化による二次的な摂動の項による部分について計算する式を得た. 前者については, 原理的に拡張ヒュッケル法のときの手法がそのまま踏襲できる. 一方, 後者については, 通常の小さい分子のハートリ・フォック式と同じく, 積分の計算のために仮定した電子分布と, ハートリ・フォック式の解から得られる電子分布が一致するまで, 繰り返し計算をすればよいが, 往々にしてこの繰り返し計算が収斂しない場合が起こる. この方法に基づくプログラムを作り, 水素分子が平行に並んでいる仮想的な高分子に, 垂直方向からの他の水素分子が近づいた系について計算した. その結果は, 通常の強い結合の近似による結果と完全に一致し, このような方法の信頼性の高さが示された. 次年度の予定:上記のように単純な系には, この方法は十分よい結果を与えるが, 大きい系, 例えばポリアセチレンーヨウ素系では, 発散する. この点の克服をして, 現実の系へ応用する.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Kakumoto: J.Phys.Chem.91. 183-189 (1987)
-
[Publications] T.Kakumoto: J.Phys.Chem.91. 2366-2371 (1987)
-
[Publications] A.Imamura: Synthetic Metals. 17. 135-141 (1987)
-
[Publications] H.Toh: FEBS Lett. 219. 279-282 (1987)
-
[Publications] A.Imamura: Int.J.Quantum Chem.,Symposium. 21. 137-151 (1987)
-
[Publications] Y.Aoki: Bull.Chem.Soc.Jpn.69. (1988)