1986 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン受容体遺伝子の構造と発現およびその異常の解析
Project/Area Number |
61480131
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
蛯名 洋介 熊本大, 医学部, 助教授 (00112227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝口 正樹 熊本大学, 医学部, 助手 (40179578)
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Keywords | インスリン受容体 / チロシンキナーゼ / インスリン作用機構 / インスリン受容体遺伝子 / site directed mutagenesis |
Research Abstract |
インスリン作用におけるインスリン受容体βサブユニットチロシンキナーゼの役割の解析: インスリンがインスリン受容体αサブユニットに結合すると、直ちにβサブユニットのチロシンキナーゼが活性化される。このチロシンキナーゼ活性がインスリン作用を発現する上で重要であると予想されるが、それに対しての反論があった。すなわちいくつかのインスリン受容体に対する抗体が糖のとり込み促進というインスリン様作用を示すにもかかわらず、βサブユニットのチロシンキナーゼの活性化が認められない。そのためにβサブユニットのチロシンキナーゼ活性がインスリン作用に必須ではないという意見があった。今後のインスリン作用機構を解明する上で、βサブユニットのチロシンキナーゼが必須であるかどうか明らかにすることは、重要な問題であった。そこで我々はβサブユニットのチロシンキナーゼの活性に必須であるATP結合部位のリジン残基をsite directed mutagenesisの手法を用い他のアミノ酸に変えた人工変異インスリン受容体cDNAを作った。この受容体をチャイニーズハムスター細胞で発現させたところ、βサブユニットのチロシンキナーゼ活性は失っていた。βサブユニットの高次構造を認識して結合する各種モノクロナール抗体とこの変異受容体との結合は正常であったことから、1つのアミノ酸置換によりβサブユニットの高次構造は大きく変化していないと考えられる。しかしこの変異受容体を介してのインスリンによる糖の取り込み促進作用は見られなかった。以上の結果よりインスリン作用発現にはβサブユニットのチロシンキナーゼ活性が必須であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuyoshi Nishida: Biochemical and Biophysical Research Communications. 141. 474-481 (1986)
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[Publications] Yousuke Ebina: Proc.Natl.Acad.Sci.USA.
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[Publications] 蛯名洋介: 生化学. 58. 477-482 (1986)