1986 Fiscal Year Annual Research Report
ポリチア〔n〕フェロセノファン-遷移金属錯体の合成と金属-金属相互作用の研究
Project/Area Number |
61540362
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 勝 埼大, 国立大学(その他), 助教授 (90008863)
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Keywords | ポリチア〔n〕フェロセノファン / チアマクロサイクルの遷移金属錯体 / 金属-金属相互作用 |
Research Abstract |
ポリチア〔n〕フェロセノファンと種々の遷移金属塩との反応を行ない、相当する錯体を多数合成し、フェロセンの鉄原子と遷移金属イオンとの間の相互作用を種々のスペクトルを用いて調べた。その結果、ある種の錯体については強い相互作用があることが見い出された。以下に具体的に述べる。 テトラチア〔n〕フェロセノファンと銅(【I】),銀(【I】),水銀(【II】),パラジウム(【II】)との錯体を合成・単離した。その際、錯体の安定性がフェロセノファンの環の大きさに大きく影響されることがわかった。また、錯体のスペクトルを検討した結果、金属イオンとフェロセン核との相互作用は小さく、恐らく、その性格は硫黄原子の配位を介した誘起効果であろうと推測された。 トリチア〔n〕フェロセノファンに対しても、上と同じ金属イオンとの錯体を合成・単離した。スペクトルデータから、パラジウム錯体以外はいずれの錯体もよく似た構造を持つことが推測された。また、いくつかの錯体においては、金属イオンとフェロセン核との間に何んらかの強い相互作用があることが推測された。 トリチア〔n〕フェロセノファン(n=7,9)とパラジウム(【II】)フルオロボレートとの錯体を合成・単離した。この錯体のスペクトルデータは、上に述べたいずれの錯体とも大きく異なり、フェロセンの鉄原子とパラジウム原子との間に弱い配位結合が存在することが示唆された。また銅(【II】)フルオロボレートとの反応では、分子内酸化還元反応が起ったと考えられる興味深い2:1錯体が単離された。 ポリチアフェロセノファンとの比較のために、ポリチア〔n〕ルテノセノファンと塩化パラジウム(【II】)との錯体の合成・単離および構造決定を行なった。ジチア〔4〕ルテノセノファンとテトラチア〔10〕ルテノセノファンでは配位様式が異なることがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masaru SATO: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 1515-1519 (1986)
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[Publications] Masaru SATO: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 3611-3615 (1986)
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[Publications] 佐藤勝: 日本化学会第54春季年会講演予稿集. 3 (1987)
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[Publications] Sadatoshi Akabori: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 3189-3195 (1986)
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[Publications] Sadatoshi Akabori: Acta Crystallogr.C42. 682-685 (1986)