1986 Fiscal Year Annual Research Report
地域公共施設水準の地域間・地域内格差に関する数量的研究
Project/Area Number |
61550432
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷村 秀彦 筑大, 社会工学系, 教授 (40111356)
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Keywords | 地域施設 / 施設水準 / 格差 / 効率性 / 平等性 / ロジットモデル |
Research Abstract |
医療保健・教育・福祉施設などの地域公共施設は、住民のニードを充足し、効率的かつ平等にサービスを提供することが要求されるが、実際には相当の地域間・地域内格差が存在している。一般に施設の効率性を規模の拡大によって高めようとすれば、地域的格差は拡大し、反対に平等性を高めようとすれば利用効率は低下するというトレードオフ関係がある。もうひとつの問題はサービス水準の評価指標のとり方である。孝え方を大別すれば、サービスの供給水準を用いる方法,サービスの需要水準を用いる方法,サービスの結果としての効果に着目する方法などがある。本研究は、実際の地域公共施設のあり方とそれに対応した住民の施設利用行動を実証的に調査分析することによって、施設計画に用いる適切なサービス水準指標を設定し、その地域間・地域内格差を計量し、それがどのような要因によって決定されているかを考究しようとするものである。具体的事例としては、施設利用の任意性,データの得やすさ,これまでの研究の実績などから、千葉県柏市の市立図書館利用調査によって地域内格差の実態を分析し、茨城県・広島県の患者調査データによって地域間格差の実態を分析する。分析の手法としては、施設利用を効用最大化を目的とする選択行動の結果として解釈し、多項ロジットモデルを用いる。昭和61年度においては、柏市における住民の図書館利用行動に二項ロジットモデルを適用して一定の成果を挙げることができた。この方法は、例えば新しい図書館の建設が住民の図書館選択にどう影響するかを、住民の社会経済特性と関係づけながら予測することが可能である。広島県の患者調査では、県道以上の道路ネットワークに最短路アルゴリズムを適用し市町村間の最短路マトリックスを算出、これを用いて市町村間の入院距離分布を求め、その格差を分析中である。
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