1987 Fiscal Year Annual Research Report
CaO含有溶融スラグと溶鉄との平衡ならびにスラグ成分の活量
Project/Area Number |
61550495
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤澤 敏治 名古屋大学, 工学部, 助手 (20115629)
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Keywords | 溶融スラグ / 活量 / 平衡 / カルシウムアルミネート / 高清浄度鋼 / カルシア |
Research Abstract |
高清浄度鋼の精錬に不可欠な取鍋内での脱酸, 脱硫において, カルシア系スラグは重要な役割を果たす. 一方, 高温物理化学の研究におけるボトルネックのひとつに反応容器の問題がある. 容器材料による試料の汚染や, 反応への影響を避けるため, 反応に対して不活性な耐熱材料を得るため苦心されてきた. これに対して, 本研究では反応容器を積極的に利用して反応を進行させる手法を用いた. 即ち, CaSルツボを自作し, これを用いて, CaO-Al_2O_3系スラグとFe-Al-S合金との平衡を1600°Cにおいて測定した. 本系の反応平衡は次式で規定され, 一定のスラグ組成においては, 溶鉄中 3CaO+2Al+3S=3CaS+Al_2O_3 のAlとSの活量の積(a^2_<Al>・a^3_S)は一定値となった. CaO-Al_2O_3-CaSsat.3成分系におけるGibbs-Duhemの関係を発展させることにより導出した関係式を利用し, この活量の積とスラグ組成の関係より, スラグ中のCaO及びAl_2O_3の活量を決定した. この際, CaOの積分の開始点としては, CaO飽和のa_<cao>=1が利用できたが, Al_2O_3の場合にはaAl_2O_3=1が使えず, CaAl_2O_4の生成反応の自由エネルギー変化の値を用いる必要があった. ただし, 測定範囲を溶融スラグ組成域に限定せず, 固相域にまで拡張することにより, 状態図さえ分かっていれば, 本系の平衡関係を規定する上記の反応の平衡定数の値をも含め, 他の研究によるいかなる熱力学的データーの援用を受けることなく, スラグ中の各成分の活量を決定することが可能である.
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