1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550717
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
沢田 達郎 金沢大学, 工学部, 教授 (80019728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 嘉利 金沢大学, 工学部, 助手 (20172455)
丁子 哲治 金沢大学, 工学部, 助手 (80092790)
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Keywords | 爆砕 / バイオマス / 酵素糖化 / 発酵 / 加水分解 |
Research Abstract |
本研究は, 高温高圧水蒸気による加水分解反応と瞬間的な減圧からなる爆砕法によって木質物質を分離・低分子化し, 酵素および発酵操作などによってエネルギー化するまでの一連の操作のプロセス工学的研究を目的としている. 本年度は, 省エネルギー型多段系爆砕, 成分の抽出分離, 糖化, 発酵のそれぞれのシステムの特性と効果および爆砕リグニンの資源化について研究した. 爆砕生成物を酵素(メイセラーゼ)で糖化した後, その糖液に酵母(発研2号)を接種したアルコール発酵を行なった. アルコールの生成量は, 水蒸気圧力および蒸煮時間などの操作条件によって大きく変化した. アルコールを多量に得るためには高圧短時間の爆砕操作が樹種にかかわらず効果的であることがわかった. 次に, 各段階によって操作条件を変えることによって効果的な前処理が可能と期待される多段系爆砕操作について検討した. メタノール可溶性リグニンの数平均分子量を1段と数段の爆砕操作について検討した. 1段の操作では数平均分子量が1000になるためには20mm以上の蒸煮を要したが, 1分間の爆砕を3回繰り返す3段の操作のとき, 数平均分子量は1000に低下した. また, 1分毎に10回繰り返す10段の爆砕操作ではその分子量は500まで減少した. これらの結果から, 多段系爆砕操作はリグニンの低分子化に著しい効果を持つことがわかった. 一方, 爆砕リグニンの資源化については, リグニン分解性担子菌による微生物的資源化だけでなく, リグニンの樹脂化についても検討した. 爆砕リグニンから得られたエポキシ樹脂は市販のビスフェノールA系樹脂よりも耐熱性および熱硬化性にも優れていることがわかった. 以上の実験結果にもとづいた爆砕からエネルギー変換までのトータルシステムの最適化の研究は次年度の課題である.
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Research Products
(2 results)