1986 Fiscal Year Annual Research Report
グリシニンの4次構造と分子間相互作用能に関する研究
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61560095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 友彦 京大, 食糧科学研究所, 助教授 (10027188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 康生 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (50181756)
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Keywords | タンパク質分子間相互作用 / グリシニンの構造と機能 / グリシニンのゲル化 |
Research Abstract |
大豆貯蔵タンパク質の主要成分である11Sグロブリン(グリシニン)の分子間相互作用能と構造との相関について、解離会合の性質と高分子化反応性の二面に関して構造との関連を解析し以下の知見を得た。1.解離会合の性質と構造の関係について、(1)グリシニンには低イオン強度下で半量体に解離するものと解離しないものの二つのタイプの分子種が存在する、(2)解離性分子種(11S)および非解離性分子種(11【S^*】)はサブユニット組成が互いに異なり、11Sは11【S^*】に比べ構成サブユニットのうちのAS【IV】の含量が高くAS【III】の含量が低い、(3)紫外吸収差スペクトル分析、円偏光二色性測定および示差熱分析による構造安定性の解析から、11Sは11【S^*】に比べよりランダムで不安定な構造をしている、ことを明らかにするとともに、(4)グリシニンの解離会合の性質は構成サブユニットのうちある特定のもの(AS【III】、AS【IV】)が大きく寄与しており、それはこれら特定サブユニットによる4次構造への影響が反映したものであると考えられること、を結論として得た。2.高分子化反応性と構造の関係について、(1)グリシニンは熱により4次構造が変化して分子表面のジスルフィド架橋反応性や疎水性相互作用能が高まり会合して高分子化が起り最終的には3次元ネットワーク(ゲル)が生じる。この場合、同様な疎水性相互作用能を有する大豆7Sグロブリン(コングリシニン)の共存下で高分子化反応を調べると、それぞれ単独の高分子化および混成の高分子化が同時に進行する、(2)混成高分子化反応においては疎水性相互作用が主として分子間結合に寄与する、(3)グリシニンとコングリシニンの混合比により混成反応の起る割合いが変動する、ことを明らかにするとともに、(4)グリシニンの熱的高分子化反応に関与する4次構造要因の一つとして分子表面の疎水性相互作用領域に関わる構造が重要であると考えられる、ことが新たな知見として得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tomohiko Mori: Journal of Agricultural and Food Chemistry. 34. 33-36 (1986)
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[Publications] Takashi Nakamura: Agricultural and Biological Chemistry. 50. 1287-1293 (1986)
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[Publications] Takashi Nakamura: Agricultural and Biological Chemistry. 50. 2429-2435 (1986)
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[Publications] Shigeru Utsumi: Agricultural and Biological Chemistry.