1986 Fiscal Year Annual Research Report
新しいポリエンマクロライド抗生物質の構造と作用機作に関する研究
Project/Area Number |
61560108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊崎 和夫 東北大, 農学部, 助教授 (80005587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 敏彦 東北大学, 農学部, 技官 (00089799)
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Keywords | グルコノバクター / ポリエンマクロライド / アミノアシルtRNA合成酵素 / アミノアシルtRNA / リボソーム / メチルペンタエン / 蛋白合成阻害 |
Research Abstract |
グルコノバクタ-W-315株の生産する抗生物質AB-315は性質のよく似た一群の抗生物質であり、ペンタエンを部分構造にもつポリエンマクロライド抗生物質である。本抗生物質はポリエン系抗生物質でありながら、細菌にのみ有効であり、眞菌類には殆ど活性を示さないユニークな抗生物質である。 この研究においては、培養液中に最も量的に多い画分2について單離精製し、その作用機作の解明を行った。画分2は大腸菌を使用したIu vivoの蛋白合成系に対してのみ著しい阻害が認められ、蛋白合成の阻害が一次作用点と推定された。さらにIu vitroのポリウリジル酸に依存したポリフェニルアラニンの合成が強く阻害される事がわかった。また人工mRNAとしてポリアデニル酸およびポリシチジル酸を用いて、夫々ポリリジン、ポリプロリンの合成に対する阻害をみると、いずれも著しく阻害されることがわかった。 これに関連して上記三種類の人工mRNAを用いてMiscodingにたいする画分2の作用を檢討した結果、いずれも影響は認められなかった。また、アミノアシルtRNA合成反応にたいして全く阻害作用を示さないが、フェニルtRNAのリボソームへの結合は著しく阻害した。 標識したピューロマイシンを用いたペプチジルピューロマイシンの生成に対し、画分2は阻害せず、従ってペプチド転移反応の阻害作用を有しないと結論した。 GTPに依存した転座反応にたいしても画分2は全く阻害作用を示さなかった。以上の結果より画分2はアミノアシルtRNAのリボソームへの結合を阻害することによる蛋白合成阻害を示し、この阻害が抗菌活性の主要な作用機作であることが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Toshihiko Watanabe;Kazuo Izaki;Hajime Takahashi;: The Journal of Antibiotics. 35. 1141-1147 (1982)
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[Publications] Toshihiko Watanabe;Kazuo Izaki;Hajime Takahashi;: The Journal of Antibiotics. 35. 1148-1155 (1982)
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[Publications] Toshihiko Watanabe;Tomoko Watanabe;Naoki Ohkubo;Kazuo Izaki;: The Journal of Antibiotics.
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[Publications] Toshihiko Watanabe;Kazuo Izaki;: The Journal of Antibiotics.