1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松下 雪郎 京大, 食糧科学研究所, 教授 (70027176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 純二 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (60093275)
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Keywords | 抗酸化剤 / 抗変異原 / 脂質の酸化 / フリーラジカル |
Research Abstract |
本研究は食品中に存在する抗酸化成分や食品添加物として使用される合成抗酸化剤についてその抗酸化活性と変異原生成抑制作用の相関をモデル実験および食品の調理条件において明らかにするものである。本年度は食品中の加熱によりリメイラード反応を介して生成する変異原物質の定量法と抗酸化剤の抗酸化活性について以下に示す結果を得た。 1.IQ(2-amino-3-methylimidazo[4.5-f]9uinoline)の定量法の確立 Sugimuraらの方法(Caranoqenesis6,1195,1985)を参考にしてブルーコットン及び逆相HPLC-UV法によるIQの定量法を確立した。検出限界は2ngであった。IQ生成のモデル反応(フラクトース・クレアチン・グリシンの加熱)によりIQが生成することを本法により確認した。 2.抗酸化剤の抗酸化活性の測定 アゾ試薬によるフリーラジカル発生系でのリン脂質リポソームの脂質過酸化反応に対する抗酸化活性はBHT<BHA<α-トコフェロールの順に強くなった。一方、水溶性ラジカルの捕促作用はリポソーム膜中に存在するα-トコフェロールやBHT、BHAではごく弱く、水溶性抗酸化剤ではアスコルビン酸よりも尿酸に強い効果がみられることがベンツピレンキノン生成抑制実験の結果から明らかとなった。さらに【Fe^(2+)】による脂質ヒドロペルオキシドのレドクス分解で生じるフリーラジカルの捕促作用はBHT<BHA<α-トコフェロールの順に強く、尿酸では作用はみられなかった。またアスコルビン酸はフリーラジカル生成を促進した。 次年度は以上の結果に基づいて、食品中に存在する抗酸化成分についてその抗酸化活性発現機構とIQやベンツピレンキノンを指標とした変異原生成抑制作用の関係を明らかにしていく。
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