1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560195
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
古野 殼 島根大, 農学部, 助教授 (90032573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徳行 島根大学, 理学部, 助手 (00144692)
渡辺 暉夫 島根大学, 理学部, 助手 (40135900)
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Keywords | 化石木 / 珪化木 / 化石木の組織構造 / 珪化過程 / 化石木の形成 / シリカ鉱物 / 樹脂細胞の樹脂様物質の化石化 / 珪化木の人工合成 |
Research Abstract |
1.収集した化石木(珪化木)から3断面の鉱物切片を作製して、光学顕微鏡観察により解剖学的性質を明らかにし、樹種を識別した結果、鮮新世および中新世の6種の試料についてはセコイア類,ソガ属,マキ属,エノキ属であった。中世代ジュラ紀を含むいくつかの化石木については同定中である。 2.SEM,EPMAおよび有機化学分析により化石木の残存組織,特に細胞壁の組織構造,シリカ鉱物の分布や残存有機物の組成・分布を珪化過程との関連で調べた。有機炭素が大量に検出された試料(センダイA,B)では微細な構造をもつ細胞壁が残存しており、シリカ鉱物は細胞内腔のような空隙を充填しているだけであった。有機炭素がある程度残存している試料ニマでは細胞壁へのシリカ置換が見られ、有機炭素が非常に少ない試料(センダイC,フジナ,サイゴ)では壁はシリカによってほとんど置換されていた。 3.試料ニマの樹脂細胞および放射柔細胞の樹脂様物質はよく保存されており,珪化していなく,高濃度の炭素を含有し,EPMAによるとコハクの約2/3であった。一方、酸素の含有量はコハクに比べてかなり多く、MgO中の酸素より強いX線強度を示した。IR分析によれば、樹脂様物質は分析に十分必要な量を分離することが出来ず、はっきりした結果は得られていないが、【CH_2】変角,【CH_3】変角のシグナルが読み取れず、相対的に水素の少ない物質であることが指定される。 4.現世木を用いて珪化木が人工的に合成されるための基礎的な各種実験を着手している。ヒノキ-珪酸溶液の反応系(PH10)に約5ケ月半浸漬した場合、木材細胞中にシリカ鉱物の形成が見られた。一部の仮通管や放射柔細胞に角柱状,円柱状のシリカ鉱物が沈積しており、木材中にシリカが形成され、成長していく過程である。現在この実験をその他の反応因子の検討とともに継続中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takeshi Furuno;Teruo Watanabe;Noriyuki Suzuki;Teruo Goto;Kanae Yokoyama: 木材学会誌. 32巻6号. 387-400 (1986)
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[Publications] Takeshi Furuno;Teruo Watanabe;Noriyuki Suzuki;Teruo Goto;Kanae Yokoyama: 木材学会誌. 32巻8号. 575-583 (1986)
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[Publications] 鈴木徳行,渡辺暉夫,古野毅: 第37回日本木材学会大会研究発表要旨集. 37. 57 (1987)