1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560324
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大谷 滋 岐大, 農学部, 助教授 (90115395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 桂一 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021710)
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Keywords | 鶏 / 単離肝細胞 / 糖代謝 / 脂肪肝 |
Research Abstract |
細胞レベルでの肝臓の糖新生機序と脂肪肝の糖新生機序におよぼす影響を明らかにするため、正常鶏とエストロジェン処理により実験的に作成した脂質代謝異常鶏からそれぞれ単離肝細胞を調製し、そのグルコース生成能について検討した。 正常鶏から調製した肝細胞による各種基質からのグルコース生成量は乳酸およびフラクトースからが最も高く、次いでピルビン酸,オキザロ酢酸の順で、グリセロール,アラニンおよびアスパラギン酸からのグルコース生成量は低いものであった。また、基質とともにグルカゴンあるいはC-AMPを添加するとフラクトース,乳酸およびグリセロールからのグルコース生成が増加した。 脂質代謝異常鶏から調製した肝細胞によるグルコース生成量は、正常鶏と同様、乳酸およびフラクトースを基質とした場合が最も高く、次いでピルビン酸およびオキザロ酢酸の順であったが、生成量自体は低く、乳酸およびフラクトースで正常鶏の約1/3、ピルビル酸およびオキザロ酢酸で約1/2であった。また、グルカゴンあるいはC-AMPの添加はフラクトースを基質とした場合のみやや増加する傾向を示した以外はほとんど変化が認められなかった。 以上のことから、鶏肝臓では乳酸がグルコース生成の主要な基質となっているのではないかと推察した。また、脂質代謝異常で脂肪肝症の状態となると肝細胞におけるグルコース生成能が低下し、ホルモンに対する感受性も低下して、脂肪肝症鶏における低血糖の一因となるものと考えられた。 鶏の糖代謝において、肝臓とともに腎臓も重要な役割を果たしているが、今後、特に肝臓でのグルコース生成が低下している脂肪肝症鶏での腎臓での糖代謝についても検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)