1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560335
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 泰弘 東大, 医科学研究所, 講師 (80109975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 紀夫 動物医薬品検査所, 農林技官
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Keywords | 牛疫ウイルス / H蛋白遺伝子 / モービリウイルス / 糖蛋白塩基配列 |
Research Abstract |
牛疫ウイルス感染Vero細胞からmRNAを抽出し、岡山-Berg法により牛疫ウイルスmRNAに対するcDNAライブラリーを作成することに成功した。牛疫ウイルスの糖蛋白および殻蛋白をコードしているmRNA(H,F,NP,P,M)に対するcDNAはいずれも各mRNAの全長をカバーしている事が明らかになったので、生物学的に特に重要と考えられるH遺伝子のCDNAについて塩基配列の解析を行なった。 その結果、牛疫ウイルスのH遺伝子は1952塩基からなり、中央に長いリーディングフレームを持ち、609個のアミノ酸をコードしていると考えられた。N末端に比較的長い疎水性アミノ酸領域がみられたが、C末端には特に疎水性領域がない為に、インフルエンザウイルスのNA蛋白と同様、N末端が細胞内に残り(シグナルペプチドとトランスメンブレン領域の両方を兼ねる)、C末端が膜外に出ると思われる。中央部には、4ケ所糖鎖結合部位となり得るアミノ酸配列がみられた〔NSS(168-170),NMS(200-202),NIS(215-217),NST(365-317)〕。 既に塩基配列が決定されている麻疹ウイルスHA蛋白の遺伝子と比較すると、mRNAの5'末端側(1-485)では75.1%、中央部(486-1310)では49.5%、3'末端側(1311-1850)では63.3%の塩基配列が一致しており、両ウイルスが比較的近い関係にあることが示された。しかし、宿主域や感受性細胞に侵入する際に重要と考えられる糖鎖結合部位を含む領域では、互いに異なっている事が明らかになった。これらの結果は、モノクローナル抗体を用いた両ウイルスの糖蛋白の分析結果とよく一致している。 Cos細胞を用いた発現系で、このCDNAは牛疫ウイルスH蛋白を発現する事が確かめられたので、現在ワクチニアウイルスに組込んでベクターワクチンの作成を行なっている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsukiyama,K.;Sugiyama,M.;Yoshikawa,Y.;Yamanouchi,K.: Virology,.
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[Publications] Yoshikawa.Y.;Tsuruoka,H.;Shioda,T.;Shibuta,H.;Yamanouchi,K.: Virology,.
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[Publications] Yoshikawa,Y.;Mizumoto,H.;Yamanouchi,K.: J.gen.Virology. 67. 2807-2812 (1986)
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[Publications] Sakaguchi,M.;Yoshikawa,Y.;Yamanouchi,K.;Takeda,K.;Sata,T.: Jpn.J.Exp.Med.56. 61-67 (1986)
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[Publications] Hirayama,N.;Senda,M.;Yamamoto,H.;Kurata,K.;Yoshikawa,Y.;Yamanouchi,K.: Jpn.J.Vet.Sci.,. 48. 259-265 (1986)
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[Publications] Morikawa,Y.;Matsubara,Y.;Yoshikawa,Y.;Kai,C.;Yamanouchi,K.: Microbiol.Immunol.30. 225-236 (1986)