1988 Fiscal Year Annual Research Report
機械油の使用過程における変性と毒性の発現-産業衛生学的見地からの検討
Project/Area Number |
61570274
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Research Institution | Okayama University Medical School |
Principal Investigator |
吉良 尚平 岡山大学, 医学部, 講師 (50033212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
野上 祐作 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (00172768)
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Keywords | サンプラー / オイルミスト / 油分濃度計 / 暴露評価方法 / 変異原性 / イオンクロマトグラフィー / ICPスペクトロメトリー / 機械油 |
Research Abstract |
1)作業環境気中からの毒性成分の回収と検出:7μmを境に2段階に分級できる、カスケードインパクタ式サンプラーのヘッドを応用し、携帯ポンプで吸引採気して、機械工場におけるオイルミストの捕集実験を行った。オイルミストをステンレス板に直接捕集し、CCl_4で洗浄抽出した後、赤外吸光度による油分濃度計で測定する方法を検討した。その結果、対照として同時に測定した、従来法のローボリウムサンプラーマガラス繊維濾紙上に吸着捕集し、重量濃度として求めた値との間に、幾何平均濃度であれば、γ=0.869の高い相関が認められた。ステンレス板への直接捕集により採気中の流量は安定に保たれ、油分濃度計の使用により微量油分の測定が可能であった。このことは機械工場において、作業者の行動に附随した暴露の評価に有効な方法と思われた。 2)毒性成分の検出方法の再検討:昨年度までに検出された変異原性を有する機械油の分画について、イオンクロマトグラフィー(ICG)およびICPスペクトロメトリー(ICP)で検討した。ICGでは、F^-、Cl^-、NO_2^-、PO_4^<3->、Br^-、NO_3^-、SO_4^<2->、SeO_4^<2->が水溶性機械油中から検出された。この中でSeO_4^<2->の変異原性の修飾について検討したが明解な結論は得られなかった。ICPでは、As、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Se、Sb、Pb、Hg、Cd、Mo、Tiについて検討したが、1ppm以上の濃度で検出されたのは、Fe、Zn、Mnの3金属のみであり、As等の重金属による変異原性発現には否定的な結果であった。 3)毒性成分の特定:変異原性を示した機械油の有機成分についての分析を試みたが特定できなかった。変異原性を示す水溶性機械油を事業所に報告したところ、その使用が中止され他の製品と変更され、同一の試料を用いた実験が困難となった。しかしながら作業者の健康保持の観点からは、本研究の結果が労働の場に反映されたと考えることができる。
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[Publications] Shohei kira.;Hikoya Hayatsu.;Yusaku Nogami.;Masana Ogata.: Jpm.J Ind Health. 29. 296-297 (1987)
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[Publications] Shohei kira.;Hikoya Hayatsu.;Yusaku Nogami.;Masana Ogata.: Industrial Health. 27. 17-21 (1989)
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[Publications] 吉良尚平、野上祐作、早津彦哉、緒方正名: 産業医学.