Research Abstract |
ヒト顎下腺から精製したアミラーゼを家兎に免疫し, 抗アミラーゼ血清を得た. この抗血清をヒト血清と精漿で吸収すると, 免疫二重拡散法でヒト血清および精漿とは反応せず, ヒト唾液とのみ反応する抗血清が得られた. この抗血清を用いて各種動物唾液ならびに植物抽出液との反応を免疫二重拡散法で検すると, ヒト, ニホンザル, カニクイザル唾液では1本の沈降線の形成が認められ, ウシ, ブタ, ウマ, イヌ, ネコ, ウサギ, マウス, ラッド, ドブネズミ, ハムスター, モルモット唾液およびキャベツ, ダイコン, トマト, ピーマン, キュウリ, リンゴ, ミカン, レモン抽出液では沈降線は認められなかった. ヒト, ニホンザル, カニクイザル唾液で生じた沈降線の形状は, ニホンザルとカニクイザルの間では完全に融合し, ヒトとニホンザル, ヒトとカニクイザルの間ではスペーが認められ, ヒトとニホンザルおよびカニクイザル唾液アミラーゼの抗原性の差異が示唆された. さらに, この抗血清をニホンザル唾液で吸収後, ヒト, ニホンザル, カニクイザル唾液との反応を免疫二重拡大法で検すると, ヒト唾液のみが沈降線を生じ, ニホンザル, カニクイザル唾液では沈降線は認められなかった. 以上の成績から, ヒト唾液とのみ反応するウサギ抗アミラーゼ血清を作製することは比較的容易であり, この抗血清は日常よくみかける動物の唾液や食物の抽出液とは反応しないことから, 唾液および唾液斑の検査に際して有用であると考えられた.
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