| Research Abstract |
24, 25水酸化ビタミンD_3[24, 25(OH)_2D_3]が, 活性型ビタミンDである1, 25水酸化ビタミンD_3(OH)_2D_3]の血清濃度を低下させる作用があることを初年度に明らかにした. そこで本年度は, この24, 25(OH)_2D_3作用が, 1, 25(OH)_2D_3の産生抑制に基くものなのか, それとも代謝分解過程への影響を介するものなのかを明らかにするため, 以下の検討を加えた. 1, 25(OH)_2D_3の血中濃度がその代謝除去率(MCR)のみによって変動する系として, ビタミンD欠乏ラットに1, 25(OH)_2D_3を皮下に留置した浸透圧ミニポンプより持続注入した. これらのラットに24, 25(OH)_2D_3を投与することにより, 定常状態に達した後の血清1, 25(OH)_2D_3濃度から, そのMCRを算出した. その結果, 24, 25(OH)_2D_3の投与により, 用量依存性に1, 25(OH)_2D_3のMCRが増加すると共に, その血中濃度が低下することが明らかとなった. これらの作用は1ug/100g/日の24, 25(OH)_2D_3という比較的少量で既に有意に認められた. また, 24, 25(OH)_2D_3の作用は短時間で出現し, 投与1時間後には既に認められることも明らかとなった. 更に, 24, 25(OH)_2D_3は, 1, 25(OH)_2D_3の水溶性代謝物への分解を促進し, その尿中排泄を増加させることにより1, 25(OH)_2D_3の血中濃度を低下させることも示された. 以上の成績は, 24, 25(OH)_2D_3が1, 25(OH)_2D_3の代謝分解過程への作用を介して, その血中濃度を調節する作用を有することを示している. これらの24, 25(OH)2-D3作用は, 種々の原因に基く1, 25(OH)_2D_3作用過剰症において, 24, 25(OH)_2D_3が1, 25(OH)_2D_3代謝への影響を介して, 高カルシウム(Ca)血症あるいは高Ca尿症などに対し治療効果を有する可能性を示唆している. したがって, 今後更に24,25(OH)_2D_3の1,25(OH)_2D_3代謝に及ぼす効果と, Ca代謝動態への影響とを比較検討することにより, その治療的投与への応用の可能性を検討する必要がある. これらの点を考慮し, 最終年度は24,25(OH)_2D_3の投与が骨およびCa代謝に及ぼす影響を明らかにしていく.
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