1986 Fiscal Year Annual Research Report
セレン代謝のモデル反応としての生体関連チオール類との反応の解析
Project/Area Number |
61571028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 久 京大, 薬学部, 教授 (50025673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千熊 正彦 大阪薬科大学, 助教授 (50025699)
渋川 明正 京都大学, 薬学部, 助手 (30170913)
中川 照眞 京都大学, 薬学部, 助教授 (70025708)
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Keywords | セレン / 必須元素 / ペニシラミンセレノトリスルフィド / チオール / NBDF / 螢光分析 / 高速液体クロマトグラフィー / 環境試料 |
Research Abstract |
セレンは生体にとって必須である半面、毒性が強くその点で必須元素の中では極めて特異な存在であり、その代謝,生体中あるいは環境中の存在量,存在状態に関する詳しい情報が必要である。そのためには微量セレンの簡便な分離・分析法の確立が先ず必要であるので、今年度は新しい高速液体クロマトグラフィーを用いる分析法の研究を行なった。セレンの特異的反応としてチオール類とのセレノトリスルフィド生成反応を検討し、チオールとしてペニシラミンを用いると生成するセレノトリスルフィドが他のチオールを用いた場合に比べて格段に安定であることを見出し、ペニシラミンセレノトリスルフィドを単離し、その性質を明らかにした。次に、ペニシラミンセレノトリスルフィドの発螢光誘導体への変換を検討し、4-フルオロ-ク-ニトロベンゾ-2,1,3-オキサジアゾール(NBD)Fを発螢光剤として用い、ペニシラミンセレノトリスルフィドを螢光誘導体に導くための最適条件を求めた。さらに高速液体クロマトグラフィーによるこの発螢光体の分離条件を検討し、ODS固定相を用いる逆相法により分離することができた。その結果ペニシラミンセレノトリスルフィド-NBD誘導体を用いる微量セレン(【IV】)の新しい分析法を開発することに成功した。この方法は、感度の点では従来の2,3-ジアミノナフタレンを用いる螢光定量法とほぼ用じであるが、操作が簡単であり、生体試料や環境試料等に応用する分析法として有利であると考えられる。この方法はSe(【IV】)に適用できる方法であるが、Se(【VI】)に対してもSe(【IV】)に還元後適用することができる。また螢光試薬としてNBD-F以外の試薬の使用も可能であると考えられるので、さらに高感化が行なえる。今後この方法の生体試料,環境試料への適用を検討し、セレンの代謝に関するモデル反応の研究に応用する考えである。
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Research Products
(1 results)