1986 Fiscal Year Annual Research Report
パターン認識による化学物質の毒性予測:ヒト急性毒性及び魚毒性
Project/Area Number |
61571034
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森口 郁生 北里大, 薬学部, 教授 (90050343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 泰雄 北里大学, 薬学部, 助手 (40050653)
広野 修一 北里大学, 薬学部, 助手 (30146328)
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Keywords | 毒性予測 / 魚毒性 / ヒト経口急性毒性 / 定量的構造活性相関 / 適応最小二乗法 / パターン認識 |
Research Abstract |
現在、化学物質の毒性評価はほとんどが実験動物等を用いて行われ、経済的にも時間的にも効率が悪く、社会的にも実験動物の大量使用について多くの批判がある。従って、ある程度の信頼性をもって毒性が化学構造から予測できれば、その恩恵ははかり知れない。 本年度の研究では、まず魚毒性については、米国国立産業医学研究所(NIOSH)編集のRTECSから、構造的に多様な約300種の有機化合物の急性魚毒性に関する等級データを採録し、主として部分構造を記述子として用い、適応最小二乗法を利用して推測モデル(識別関数)の算出を行った。38個の記述子を用い310種の化合物のデータから得られた推測モデルでは、毒性等級(3等級)の識別及び予測に関するスピアマンの順位相関係数(Rs)はそれぞれ0.837及び0.771であり、ともに1%未満の危険率で有意な信頼性を示した。 次に、ヒト急性毒性については、米国CISに収載されている中毒情報CTCP(5版)の等級データを用いた。分子構造に関する記述子には、主として部分構造の数、あるいは有無(ダミー変数)を用い、今後取り扱う対象化合物の拡張を考慮して、できるだけ汎用的なものを採択した。また、複数の部分構造の相乗効果や、分子全体の特性を示すパラメータ等も試みた。構造的に多様な129化合物(市販の医薬品、家庭用化学薬品等)より成るモデルセットについて、17個の記述子を用いた解析では、毒性等級の識別においてはRs0.861,また予測においてはRs0.734であり、これもともに1%未満の危険率で有意な信頼性を示した。 次年度に向けて、さらに化合物をふやし、構造記述子をさらに検討し、環境改善や新薬開発等の場面で実際に役立つものとするために、適用対象の拡大と予測精度の向上を図って行きたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森口郁生,広野修一,松下泰雄: Chem.Pharm.Bull.
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[Publications] 吉岡宏輔,首藤紘一編,森口郁生,他: "生物活性物質の分子設計" (株)ソフトサイエンス社, 449(19) (1986)