1987 Fiscal Year Annual Research Report
日本人集団の人体自由水型及組織結合型トリチウム量に関する研究
Project/Area Number |
62055016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 陽里 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60025541)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 達 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助手 (70027051)
栗原 紀夫 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 教授 (00026428)
山本 啓一 京都大学, 医学部, 助教授 (40025614)
|
Keywords | トリチウム / 自由水 / 組織結合水 / 日本人 |
Research Abstract |
核融合研究が発展し試験炉が運転を始めると大量のトリチウムが環境に放出される恐れがある. 環境中のトリチウムが増加すると種々の経路を通じて体内に侵入したトリチウムにより放射線被爆の可能性が増加する. したがって現在の日本人体内のトリチウム量を測定し, 基準値となるバックグラウンド値を明らかにしておくことは今後の増加を知り, 環境のリスク評価を行う上で重要である. 日本人の体内自由水トリチウムについては現在まで今年度の9例を加えて29例の測定を行っており, 組織結合型トリチウムについても測定を始め数例の結果を得た. 材料は法医解剖をうけた生前は健康と思われた遺体から得た. 各組織は真空凍結乾燥法により72時間かけて捕集した. 捕集して得た自由水は従来からのアロカ製低バックグラウンド液体シンチレーション計数値LSCーLB1と, 今回本科学研究費で入手したパッカード製液体シニチレーションアナライザTRIーCARB1550を用いて測定を行った. 組織結合水については, 燃焼後の水を捕集して測定した. 全試料数は86個でその平均は105pCi/lであった. 個体間のばらつきは52pCi/lから210pCi/lの間にあった. 各組織の平均は脳で71pCi/l, 肺で88pCi/l, 肝で87pCi/l, 腎で162pCi/l, 筋で69pCi/l, 脾で102pCi/lであった. 組織結合水では肝で750pCi/l, 筋で600pCi/l, 蒸溜水で320pCi/lと大きい値を示した. この理由は不明であるが, 恐らくスペクトルがトリチウムに類似した有機物質の疑計数であろうと思われる. 今後この分析を行うと共に例数も増加させていく予定である. 試料は目下蓄積中である.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Reiji Ichinose,Norio Kurihara,Norio Kurihara: J.Pesticide Sci.11. 231-236 (1986)
-
[Publications] 青木達,栗原紀夫,山本啓一,上野陽里: 第31回放射化学討論会講演予稿集. 142-143 (1987)
-
[Publications] 青木達,栗原紀夫,山本啓一,上野陽里: 日本放射影響学会第30回大会講演要旨集. 180-180 (1987)