1987 Fiscal Year Annual Research Report
禅宗修行僧における血清脂質と食餌因子の関係についての研究
Project/Area Number |
62304053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北 徹 京都大学, 医学部, 助手 (60161460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 矩章 東海大学, 医学部, 助教授
松沢 佑次 大阪大学, 医学部, 助手 (70116101)
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Keywords | 食餌因子 / コレステロール / LDLコレステロール / 不飽和 / 飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
近年食生活の欧米化に伴い, 狭心症, 心筋梗塞等の虚血性心疾患が増加している. 我々の研究成果を基に上記症の根底をなす動脈硬化発症につき, ことに血清コレステロール代謝に注目し, まず食餌因子の血清コレステロールに与える影響について検討を試みることにした. 従来より食餌性の諸因子が血清コレステロール, ことにLDLコレステロールに影響を与えることが知られている. そこで本年度は動物性食物を摂取しない禅宗修行僧に注目し, 彼等の血清脂質と食餌成分とを比較検討した. 〈結果〉まず京都市内にある禅寺修行僧18名を対象に調査を行なったところ, 血清コレステロール値は135.1mg/dlでLDLコレステロールは73.0mg/dlであった. 一方, 対照は血清コレステロールが188.9mg/dlでLDLコレステロールが108.6mg/dlであり, 明らかに修行僧の血清コレステロール値, ことにLDLコレステロール値は低値を示した. それぞれの食餌を分析したところ, 摂取カロリーにはさして変化は認められなかったが, 脂肪酸摂取において修行僧はP/S比の高い脂肪酸すなわち不飽和脂肪酸を多く摂取していること, また修行僧に動物性蛋白, 脂肪の摂取はなく, 従ってコレステロールの摂取量もほぼ0であった. 次に外国人と日本人との間に人種差が存在しているかどうかにつき, 小浜市内の禅寺で修行している僧について検討したところ, 外国人, 日本人僧ともに145mg/dl前後の血清コレステロール値であり, 対照が190mg/dlであったことから明らかに低値であることがわかり, 人種差は存在しないことがわかった. 京都の僧との違いは年令によるものであった. 彼等の内分泌, 肝, 腎機能には障害がなく食餌によると思われた. 我々は予備研究として現在永平寺に入山前後での修行僧の血清総コレステロール値, LDLコレステロール値の変動と食餌の関係について検討中である. 63年度はこの方面について研究予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kita.T;Yokode.M;Kita.M;Fujii.K;Kawai.C: J AM Col Cardiol. 42A. (1986)
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[Publications] Kita.T;Ishii.K;Kume.N;Nagano.Y;Kawai.C: Circulation. 74. II-33 (1986)
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[Publications] Kita.T;Yokode.M;Kume.N;Ishii.K;Nagano.Y;Mikami.A;Kita.M;Fujii.K;Kasai.C;Domae.N;Ishihara.H;Kimura.M;Itokawa.Y: Jap Circl J.
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[Publications] 北徹: 臨床栄養.
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[Publications] 河合忠一編;北徹: "心臓病学(動脈硬化の成因)" 朝倉書店, 645-662 (1986)
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[Publications] 河合忠一編;北徹: "心臓病学(冠状動脈疾患)" 朝倉書店, 862-871 (1986)