1987 Fiscal Year Annual Research Report
月の錯視学説の実験的検討ー地上風景説と眼球運動説を中心としてー
Project/Area Number |
62450023
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
苧阪 良二 愛知学院大学, 文学部, 教授 (20025092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 法瑞 愛知学院大学, 文学部, 助教授
伊藤 元雄 愛知学院大学, 文学部, 助教授 (00097552)
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Keywords | 月の錯視 / 視空間 / 風景要因 / 眼球運動 / 頭部運動 |
Research Abstract |
1.水平文節型と垂直文節型の風景カラースライド各4枚を撮り, 無地のものを統制刺激とし, 距離2mの壁面に投影した人工月(18mm)に対する見かけの大きさの差を測定した. 無地の月を1とすれば, 風景を背景にした場合, 10人の被験者の分布は, 月の錯視率1.02〜1.32で, 2mの距離での人工月でも地平風景を加えれば錯視が生ずることがわかった. 垂直文節型(レールウエイ錯視と似た風景)の場合, 被験者の内観では水平文節型より大きいというが, データの上では差はなかった. 2.カウフマン(以下K型と略称)装置の製作. 両眼視可能な大口径レンズの入手と超微細孔工作の実現に予想以上の日月がかかったが, 口径120mm, 焦点距離250mmと, カウフマン装置以上のもので, 微細孔系列が5'ステップの16孔(10'ー85')と, 等面積ステップの16孔(15'ー84')の2種の比較刺激が完成した. 更に同一電球による標準刺激4箱とガンツフェルト投影装置が完成した. これはガンツフェルト上に月夜景の動態投影が可能である上に, その中の赤道儀を野外に利用することで, 下方向の満月が実現できる. K型装置の予備実験の結果, 両眼視は可能だが, 眼球の調節にやや時間がかかる場合があり, この装置に適応させる工夫が必要である. しかし無限遠に調節すると月が浮かんで見えて在来のボズデナー苧阪型(以下O型と略称)よりも実感的であった. しかしK型もO型同様, 装置が被験者に近接して存在するため, いわゆる視空間安定性(VDC/VPC)に欠けている. これは, カウフマン, ボーリングの論争の中でも気付かれていない方法的弱点であることは否めない. O型とK型を同時利用して地平の満月の測定を9人の被験者で行ったところ, O型では平均値が26.2cm, 錯視率で1.46となり, カウフマン論文のデータと近似した値が得られた. 同時にK型も使用したがK型とO型の測定値の順位相関はr_s=0.7で, 両者は測定装置としても近似していることがわかった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 苧阪良二: 愛知学院大学文学部紀要. 17. 77-84 (1987)
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[Publications] 苧阪良二: 第51回日本心理学会発表文集. 105 (1987)
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[Publications] 苧阪良二: 第7回日本基礎心理学会発表論文集. (1988)
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[Publications] 苧阪良二: 愛知学院大学文学部紀要. (1988)
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[Publications] 苧阪良二: 第52回日本心理学会発表論文集. (1988)
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[Publications] R.OSAKA: Proceedings of The 24th International Congress of Psychological Science. (1988)