1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 培生 東京大学, 理学部, 助手 (70188340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海部 宣男 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (50011630)
小林 行泰 東京大学, 理学部, 助手 (50170361)
長谷川 哲夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50134630)
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Keywords | 赤外線天文学 / 星形成領域 / 赤外線天体 / 広視野測光器 / 2次元アレイ検出器 / インジウム・アンチモン検出器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、赤外2次元アレイ測光器を製作し、これを用いて、銀河系内外の微弱な、広がった天体の線スペクトル観測を行うことである。この2次元アレイ測光器は素子数としては4×4=16と、現在の赤外線カメラの開発状況から見れば少ないが、数分角に広がった天体に対しては感度が高く、特に波長を絞った観測においては背景輻射による影響も少なく有効である。 本年度(最終年度)は上記16素子アレイ測光器を完成し、本観測を行うことが目標であったが、残念ながら本観測には到っていない。昨年度の問題点は基本的には解決し、近い将来によい成果を期待している。 一方、天文学的には、本研究の目的に沿っていくつかの観測を行った結果、星形成領域などで観測される水素分子輝線の励起の問題に対する理解が深まった。つまり、今までは、近赤外域で観測される水素分子輝線は、原始星周囲の、及び超新星爆発に伴う衝撃波によって励起されていると解釈されてきたが、HII領域や反射星雲などでの、蛍光放射として観測される水素分子輝線が、銀河全体では大きく寄与していることがわかった。さらに、数少ない例ながら、あるスタ-バ-スト銀河での水素分子輝線の励起は、我々の解析によって蛍光放射によることが判明した。この結果は、銀河全体での星形成のヒストリ-及び星と分子ガスの分布などを解くかぎとしての輝線観測の重要性を示している。 以上より、本科研費によって始められた研究、すなわち、高感度検出器による広がった天体の赤外線スペクトル観測は、まだ最終的な成果には到っていないが、我々の天体物理現象に対する理解を一歩進めるきっかけを与え、近い将来、まとまった成果を産み出すものと確信している。
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[Publications] MASUO TANAKA: "INFRARED SPECTROSCOPY OF INTERSTELLAR MOLECULAR HYDROGEN:DECOMPOSITION OF THERMAL AND FLUORESCENT COMPONENTS" THE ASTROPHYSICAL JOURNAL. 336. 207-211 (1989)
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[Publications] MASUO TANAKA: "THREE MICRON ICE-BAND FEATURES IN THE ρ OPHIUCHI SOURCES" THE ASTROPHYSICAL JOURNAL. 352. Aprill (1990)