1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460044
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
若浜 五郎 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 薫 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (50114997)
本山 秀明 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20210099)
山田 知充 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (50002100)
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Keywords | 湿潤積雪 / 濡れ雪 / 水に浸った積雪 / 水に浸ったフィルン / 圧密氷化 / 定荷重圧縮 / 雪渓 / 帯水層 |
Research Abstract |
当該研究は野外調査と室内における実験によって実施した。本年度の野外調査は、北海道大雪山トムラウシ山付近にあるヒサゴ雪渓において昨年度に引き続き継続した。ヒサゴ雪渓は雪渓基部に約5mの氷体を持つ越年性雪渓である。雪渓下部氷体とその上部フィルン層(含水率5-10%のざらめ雪)の間に、雪渓表面で融解した融け水の浸透によって、帯水層が形成されている。この帯水層上部のフィルン層の、6月から9月までの間の乾き密度増加は、僅かに0.05g/cm^3程度に過ぎなかったが、水に浸った帯水層のフィルンは、0.15g/cm^3もの増加を示し、融雪期の終わりの10月には、最終的に乾き密度が0.75g/cm^3まで圧密された。つまり水に浸ったフィルンの圧密速度は濡れたフィルンの3倍も大きいことが分かった。又、帯水層のフィルンの濡れ密度は0.83g/をcm^3越え、これが初冬の寒気によって凍結することにより、このフィルン層は氷化し、昨年の氷体の上に新たな氷が積み重なって、氷体の成長がもたらされていることも明らかになった。実験室では、水に浸した積雪の定荷重圧縮実験を継続した。今年は実験試料の粒径を1.0-1.4mmに、密度を0.5g/cm^3に厳密に調整し、再現性のよい実験が行えるように装置の改良を行った。上載荷重は温暖氷河や雪渓の帯水層のフィルン部分に作用している0.1-2kg/cm^2の圧力となるように印加した。これに加えて、圧縮速度の積雪粒径依存性を調べてみた。初期密度0.5、上載荷重を0.93kg/cm^2に固定し、中心粒径を0.3mmから4.4mmまで変化させた。その結果、粒径の圧密速度に及ぼす影響はほとんど認められず、荷重の違いによる圧密速度の違いに比べると、たとえ影響があったとしても無視し得るほど僅かであることがわかった。これら実験結果から、上載荷重が分かれば、氷化するまでに要する時間を推定できる簡単な経験式を導いた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 河島克久: 低温科学 物理篇. 47. 15-24 (1988)
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[Publications] 河島克久: 低温科学、物理篇、資料集. 47. (1988)
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[Publications] 河島克久: 昭和62-63年度科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書. (1989)
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[Publications] 河島克久: 昭和62-63年度科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告所. (1989)
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[Publications] 河島克久: 昭和62-63年度科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書. (1989)
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[Publications] 河島克久: 昭和62-63年度科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書. (1989)