3次元剥離渦を伴う流場及びその船型要素との関係に関する研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62460147
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 田中 一朗 大阪大学, 工学部, 教授 (30028964)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松村 清重 大阪大学, 工学部, 助手 (10135668) ; 鈴木 敏夫 大阪大学, 工学部, 教授 (80029107)
• Keywords: 剥離渦 / スムース・セパレーション / 砕波 / 低速造波抵抗理論 / 厚い境界層理論

Research Abstract

船首尾部で発生する3次元剥離の発生機構及びその船型要素との関係を明らかにするとともに、これらの影響を考慮した船体まわりの流場、船体に働く流体力の計算法を開発することを目的とする。以下に調査法とその結果について述べる。
1.船体が斜航する場合の3次元剥離渦を伴う流場の計算には、剥離渦の発生初期の渦層形状、渦の強さ密度分布を必要とする。これを得るために、円錐まわりの自己相似流場について、剥離緑近傍における剥離の形状を摂動法により求めた。さらに、この解をもとに渦の局所流速を用いて解を大局化させる反復法を示し計算を行ったところ、元の漸近解がレイノルズ数が無限大の場合のスムース・セパレーションに対応するため、渦層は円錐からあまり離れず、有限レイノルズ数の渦層形状とはかなり異なることが明らかとなった。
2.船首砕波を起こす流場の構造を明らかにするために、長手方向の長さの2乗に比例して大きくなるカスプ状円形断面船に対して、低ブルード数で航行するとの仮定の下で低速似解を構成した。この解は従来の低速理論の矛盾をすべて除去でき、発散波を伴う実刑的事実をよく表す解が得られた。また、渦を伴っていない局所波は実験で得た汲形によく似た形状となることがわかった。
3.厚い境界層理論と簡易プロペラ理論を用いてプロペラ作動時の実用船型まわりの流場の計算法を開発した。その結果、プロペラ作動時において計算結果は実験結果とよい一致を示し、また、船体横断面形状をフレアーを持つように変形すれば粘性圧力抵抗が軽減されることがわかった。
4.一定推力の下で自由運動する物体まわりの流場について数値シミュレーションを行い、カルマン渦の発生等を表現できることがわかった。