1987 Fiscal Year Annual Research Report
小児例に対する無肝期における体外循環システムに関する研究
Project/Area Number |
62480274
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
勝俣 慶三 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (30051105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 真一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40180997)
廣部 誠一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20181224)
松藤 凡 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80190502)
横山 穣太郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80051407)
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Keywords | イヌ同種同所性肝移植 / 無肝期循環動態 / VenoーVenous shunt / Biopump |
Research Abstract |
1.対象及び方法:15kgの雑種成犬を用いて従来行われている同所性肝移植のrecipientの手順に従い,肝摘出後,BioーPumpを用いた門脈ー外頸静脈及び下大静脈ー外頸静脈間のバイパスを行う. (1)無肝期の大腿動脈圧,腎動脈血流量の測定,血液ガス,凝固能,血清生化学検査の施行. (2)バイパス下に同所性肝移植の施行,測定項目は(1)に同じ. 2.結果:方法(1)に従い,4回の実験を行った. バイパス後,動脈圧は10〜20%減少し,収縮期圧は120〜140mmHgで維持された. 腎動脈血流量は約10%の減少であった. 平均バイパス流量は15〜20ml/kg/min,平均回転数は1000〜1500RPMであった. 無肝期バイパス下において最低2時間の循環動態の安定化が認められた. 次にBioーPumpによるバイパス下にて11回の肝移植実験を行った. チューブの屈曲,回転数の上げすぎによる脱血量の低下,空気の混入によるari eriboliなどの問題点が生じたが,チューブの工夫や,チームワークの強化により,これらの問題は解消された. バイパス流量,回転数は方法(1)と同様であった. バイパス回路より15〜20ml/kgの急速輸血により,血圧の変動は全く認められなくなった. 現在バイパス時の腸管のうっ血は全くみられず,血液ガス,凝固能,血清生化学検査値において,無肝期1時間の変化はほとんど問題になっていない. 又,バイパスチューブ中に,臨床的に問題となる程の血栓は一例も認められなかった. シャントの不調は腸間膜のうっ血をひきおこし,これは移植後のアシドーシスを助長させる. BioーPumpの回路中にリザーバーを置くことにより,流量メーターとリザーバーのチェックによって事前に腸間膜うっ血を回避することが可能となるのである. 今後本実験にPGI_2付加時についての検討を加え,さらにrecipient体重10kg前後を目標としたBioーPumpによる理想的体外循環法を追求する予定である.
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