1988 Fiscal Year Annual Research Report
死体腎移植後急性尿細管壊死期間中の至適免疫抑制法の確立について
Project/Area Number |
62480337
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田島 惇 浜松医科大学, 医学部泌尿器科学, 助教授 (10111808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 優 浜松医科大学, 医学部泌尿器科学, 助手 (50172375)
牛山 知己 浜松医科大学, 医学部泌尿器科学, 助手 (50176658)
大田原 佳久 浜松医科大学, 医学部泌尿器科学, 助手 (80124717)
太田 信隆 浜松医科大学, 医学部泌尿器科学, 講師 (50160510)
阿曽 佳郎 東京大学, 医学部泌尿器科学, 教授 (00009961)
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Keywords | 死体腎移植 / 移植腎針生検 / リンパ球除去 / OKT3 / シクロスポリン腎毒性 |
Research Abstract |
本研究者らは、昭和63年、18例の死体腎移植を経験した。これらの死体腎移植では、心停止後の摘出のため、全例、術後急性尿細管壊死(ATN)が生じた。臨床例を中心に詳細に検討した結果、昭和63年度は、以下の知見が新たに得られた。1)組織学的検討; 18例全例に、ATN中に、経時的に超音波ガイド下の移植腎針生検を施行した。その結果、針生検は移植腎の状態を正確に知る上で、極めて有用であることが判明した。特に、DNA polymerase-αのモノクローナル抗体による免疫組織化学的検索により、移植腎のATNからの回復状態を把握することができる。2)リンパ球除去; われわれの開発した独創的な免疫抑制手段であるリンパ球除去では、従来リンパ球とともにかなりのリンパ液(蛋白)も除去されていたが、新素材の極細不織布(セルソーバ、旭メディカル)にて除去リンパ液を濾過し患者に戻すことにより、蛋白喪失を防ぐことができた。3)拒絶反応の治療; T細胞のモノクローナル抗体であるOKT3を急性拒絶反応の治療として11例に用い、9例(82%)で寛解が得られた。4)シクロスポリン(Cs)腎毒性の発見には血清カリウム値が有用であることが判明した。すなわち、Cs腎毒性では早期に血清カリウム値が上昇する。レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系が関与していることが推定される。また、血中シクロスポリン濃度の測定では、FPIA法が、迅速かつ容易であり、有用である。5)間質性肺炎の治療; 重篤な合併症であるサイトメガロウィルス肺炎の治療にはガンシクロビルの投与が極めて有効である。6)移植直後の血液透析; われわれの考案した穿刺の工夫による高速血流透析により、少量の抗凝固剤で安全・容易に透析ができるようになった。7)死体腎ドナー; 静岡県における死体腎提供状況を調査し、解決すべき問題点を提起した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田島惇: 泌尿器外科. 1. 587-590 (1988)
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[Publications] 田島惇: 泌尿器外科. 1. 625-627 (1988)
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[Publications] 牛山知己: 日本超音波医学会講演論文集. 52. 185-186 (1988)
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[Publications] 阿曽佳郎: 日本泌尿器科学会雑誌. 79. 1488-1496 (1988)
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[Publications] 田島惇: 腎と透析. 25. 655-658 (1988)
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[Publications] Atsushi Tajima: Transplantation Proceedings. 21. (1989)