1989 Fiscal Year Annual Research Report
運動性蛋白尿生成機序とその診断に有用な臨床検査法に関する研究
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62480437
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Research Institution | The Jikeikai University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 政登 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10110925)
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Keywords | 運動性尿蛋白 / 最大運動 / クレアチニンクリアランス / レニン・アンギオテンシン系 / captopril / 微量尿蛋白 / 日内リズム |
Research Abstract |
1.運動性蛋白尿出現機序の解明 運動による蛋白尿の出現は糸球体毛細血管透過性の亢進によるが、透過性亢進の機序として、腎血行動態変化、腎交感神経系およびレニン・アンギオテンシン(RA)系亢進などが考えられている。そこで、本年度は21〜26歳の健康男子10名を対象に、angiotensin converting enzyme(ACE)inhibitorであるcaptopril 50mgを経口投与し、30分後にトレッドミルにより最大運動を負荷し、尿蛋白排泄量や尿量、クレアチニンクリアランス(Ccr)およびカテコ-ルアミン(Norad,Ad)濃度変化などを調べ、captoprilを投与しない、いわゆる対照実験の結果と比較した。captopril投与によって、最大運動後のpAngII濃度上昇は抑制されたが尿蛋白(アルブミン、IgA、IgGなど)排泄量およびCcr変化は対照実験に比し有意な差はなかった。従って、激運動後の尿蛋白出現に対するPA系の関与は重要とは思われない。 2.微量尿蛋白(アルブミン:alb、α_<1->:α_1M、β_2ミクログロブリン:β_2M)排泄の日内リズムに及ぼす身体活動の影響 健康男子10名を対象に、微量尿蛋白排泄日内リズムと身体活動量との関連を調べた。身体活動量は、携帯型心拍計を用い、24時間連続心拍数を記録し、予め測定した心拍数ー酸素摂取量回帰式から酸素摂取量を推定しエネルギ-換算した。尿中alb排泄の日内変動は身体活動の影響をうけ、昼間多く、夜間の排泄が低下した。したがって、糖尿病性腎症などの鑑別や予後観察には夜間または早朝尿が好ましい。α_1M、β_2MおよびNAG排泄は昼間活動時に多いが、夜間休息時でも真夜中頃までは抑制されず、身体活動とは異なった独自の内因性調節因子の支配も受けていると思われた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 鈴木政登,井川幸雄: "平常生活時の微量蛋白尿および酵素Nーacetyl-β-D-glucosaminidase(NAG)尿中排泄の日内変動" 日本腎臓学会誌. 32巻6号. (1990)
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[Publications] SUZUKI,M,.et al.: "Using the radionuclide angiography method for measuring renal blood flow in healthy males following an exhaustive exercise." The Japanese Journal of Physiology.
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[Publications] 鈴木政登,井川幸雄: "運動性蛋白尿出現機序" 日本腎臓学会誌.
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[Publications] 鈴木政登,他: "運動性蛋白尿出現機序ーcaptopril投与の影響ー" 第67回日本生理学会大会.