Research Abstract |
本年度は, 高等教育機関の入学者定員割れ状況および新設統廃合の要因を分析するための理論作りおよび実証データの作成・分析を行った. すなわち各高等教育機関(特に短大)に関して昭和61年度の定員充足率, 社会的評価(偏差値等), 構成員の特性(研究状況・年齢分布・学歴等), 就職状況などの属性的情報を収集しデータ・ベースを作成し, 昭和35年度以降統廃合された高等教育機関の一覧表を作成し, さらに統廃合された高等教育機関を日本地図にプロットした. アメリカ合衆国に関しても同様のデータを作成し, さらに日本に関しては, 以上の情報を補うため, 各大学が出した文書資料を収集し, 関係者へのインタビュー調査を実施した. その結果, 以下の新たな知見が得られた. (1)統廃合の多いアメリカの高等教育機関の共通点として, 小規模(学生数1000人以下), 無名で基本財産をもたない授業料依存型の新設の短大, または教養中心のリベラルアーツ・カレッジ, または宗教系大学という特徴があげられること. 逆につよい大学の特徴として, 私立よりは公立, 立地条件が良いこと, 創立年が古いこと(100年以上の伝統をもつ大学はほとんど廃止されていない), 威信の高い大学院をもっていること. (2)日本の高等教育機関の統廃合に関しては, 4年制大学では実質的に廃止校は存在しないけれども, 短大に関しては42校あること, また, 短大の統廃合の重要な原因の1つとして学生の定員割れがあること. 各短大の定員割れの要因を, 経営戦略, 内部組織特性, 外部環境特性の3つの観点から検討した結果, 小規模で, 設立年が浅く, 偏差値ランクが低く, 小都市にある短大に多いということ. (3)中国四国地方に所在する短大のインタビュー調査の結果, 多角経営, 学科の新設・改組, 推薦制度の活用, 男女共学化, 等々の生き残り戦略が取られていること.
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