1987 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの大学と帝国植民地との教育交流に関する歴史的研究-オックスフォード大学「ローズ留学基金」の性格と意義-
Project/Area Number |
62510151
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
安原 義人 国立教育研究所, 第一研究部, 室長 (00093823)
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Keywords | セシル・ローズ / 留学 / オックスフォード大学 / 南アフリカ / 植民地 / 大英帝国 / 教育交流 |
Research Abstract |
本年度は以下の3つの点に沿って研究を実施した. 1.「ローズ留学基金」や英国植民地教育政家安に関する内外の文献資料を調査・収集し, 主要先行研究を分析・検討する. 2.セシル・ローズが生前に書いた7通の遺言状ひとつひとつの内容を詳細に分析することによって, 「留学基金」設立の目的・意図・財源, 基金の受給資格・条件・留学生の選考方法等を明らかにする. 3.ローズ留学生に関する統計資料に基づいて, 基金設立以後約半世紀間におけるかれらのプロフィールと留学後の社会的活動・経歴を整理・解明する. 以上の作業を通じて明らかになった主要な点は次の2つである. 1.ローズが留学基金を設立するに至った背景には, 英語国民を統一してアングロサクソン文化を世界に伝播・普及するという壮大なヴィジョンがあった. そしてそのヴィジョンを達成するための手段・方途としてローズは秘密結社の結成, ケープ植民地大学の設立などを構想するが, 最終的に選ばれたのが留学基金の設立であった. 2.しかしその時には, 大英帝国の支配のもとでの世界秩序の安定というローズの最初のもくろみはかなり緩和されたものになっていた.
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