1987 Fiscal Year Annual Research Report
我が国労働者の労働=生活時間構造の変化に関する実証的研究
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62530040
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
鷲谷 徹 財団法人労働科学研究所, 社会科学研究部, 主任研究員 (00124313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 武 財団法人労働科学研究所, 社会科学研究部, 客員所員
木下 武男 財団法人労働科学研究所, 社会科学研究部, 研究員 (90320499)
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Keywords | 労働時間 / 生活時間 / 健康 / 家族関係 / 残業 / 休日出勤 / 余暇活動 |
Research Abstract |
本年度の研究においては, 企業レベルの労働時間の制度的・実態的枠組みが今日の労働者の生活時間構造を「外的」に規定する主要因となっているという仮説の下に, 労働=勤務時間と生活時間の内的連関構造を明らかにすることを目的として, これまで我々が実施した生活時間調査データの再集計・分析を行った. さしあたり労働科学研究所の1985年調査(電機労働傘下組合員生活時間調査)に関し, 勤務・通勤時間を中心とする職業関連行動時間の他生活時間に対する規定性を分析するために, 様々なクロスセクション分析, 回帰分析を行った. その結果次のような知見が得られた. 1.直線回帰を想定すると, 生活諸行動のうち, 職業関連行動時間に大きな相関を示す睡眠やテレビ・ラジオ視聴時間等に対し, 食事時間や休息・いっぷく時間, あるいは新聞・雑誌講読時間のように, ほとんど無相関の生活時間にはっきり分かれる. しかし, 例えば睡眠時間をより詳しく分析すると, 職業関連行動時間の増減に対する変化のあり様は必ずしも単調ではなく, 一定の時間ポイントに関して屈曲点が存在し, ある限度以上に職業関連行動時間が増加すると, 急速に睡眠時間が低下する傾向がある. 2.能動的「余暇」活動を行うためにはまったある程度長い時間(「最小必要連続時間」)が必要であり, 長時間残業や休日出勤による生活時間の圧迫は量的のみならず, 生活の質に大きな影響を及ぼす. 3.今回の分析では, 家庭生活における諸行動の実現状況, 労働者自身の疲労・負担意識や家庭・生活に関する満足度, 配偶者の評価等の基準によって限界労働時間を求めようとした. 得られた一つの指標は健康面でも家族関係の面でも, 帰宅時刻が平均で21時台を超えると様々な障害が発生する可能性があり, より積極的に健康と家族関係の十分な良好さを保ためには19時前の帰宅が必要だということである.
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Research Products
(1 results)