1989 Fiscal Year Annual Research Report
K_<0.30>M_0O_3の狭帯域雑音の低温での研究
Project/Area Number |
62540230
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堤 喜登美 金沢大学, 理学部, 助教授 (20143323)
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Keywords | 遷移金属カルコゲナイド / 電荷密度波 / 超伝導 / オ-ムの法則に従わない電気伝導 |
Research Abstract |
K_<0.30>M_0O_3の狭帯域雑音を低温で測定し、K_<0.30>M_0O_3における電荷密度波の低温における挙動に関す新しい知見を得ることが目的であったが、昭和62年10月に東京大学から岩手大学へ、昭和64年1月に岩手大学から金沢大学へ転任したため、狭帯域雑音測定装置の使用が不可能となり、研究目的を変更し、遷移金属のカルコゲン化合物である1T-VSe_2と2H-TaS_2の電荷密度波と超伝導の研究を行った。1T-VSe_2と2H-TaS_2の単結晶の合成に成功し、電気抵抗を測定することにより、両物質において電荷密度波の存在を確認出来た。また、10mKという超低温領域まで、測定温度領域をひろげて研究を行ったが、1T-VSe_2においては超伝導を見い出すことが出来なかった。1T-VSe_2が超伝導を示すならば、10mK以下という結論が得られた。一方、2H-TaS_2は1K以下で超伝導を示した。しかし、2H-TaS_2の超伝導は測定電流に非常に敏感であり、非常にブロ-ドな超伝導を示した。また、1.4Kと4.2Kにおいて、オ-ムの法則に従わない電気伝導が観測された。このオ-ムの法則に従わない電気伝導が超伝導転移温度の分布に由来することを確認するために、強磁場下での電気伝導の測定およびマイス-効果の測定を考えている。このために、He-3を用いた希釈冷凍機およびSQUIDを用いた超低温領域での測定まで広げてゆくつもりである。また、単結晶作成にも精力を注ぎ高純度かつ大きな単結晶を作成するために、電気炉の製作にも精力に取りくむ方針である。
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