1988 Fiscal Year Annual Research Report
ジアセチレン結晶の同素変態に与えるγ線照射の効果と配向性高分子単結晶への相転移
Project/Area Number |
62540239
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松山 奉史 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (50027463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 仁史 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80026004)
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Keywords | ジアセチセン / ポリジアセチレン / トポケミカル重合反応 / 放射線重合 / 配向性高分子 / 相転移 / DCH / TCDU |
Research Abstract |
1.同素変態を示すことが知られている対称ジアセチレンDCHモノマー結晶(側鎖にカルバゾール基を含む)においてはγ線照射によるトポケミカル重合反応の進行とともに変態点が低温側に移動する。当初にこの変態点の移動はポリマー生成に伴う混合のエントロピーの増大を考えて説明できるのではないかと予想したが、これでは転移熱の減少量の大きさまでは説明できないことから、重合反応が進行するにつれて生成ポリマー鎖に蓄積される歪エネルギーの大きさで解釈することを試みた。 2.上に述べたDCHモノマー結晶は生成ポリマーを含む場合には同素変態点で色相転移を示し、高温(常温)側が青色、低温側で赤色を呈する。一方、対称ジアセチレンTCDUモノマー結晶(側鎖にウレタン基を含む)はポリマーが生成される初期の段階から常温で赤色を示し、重合反応が完了してTCDUポリマー結晶になっても赤色のままである。従って、TCDUの赤い呈色はポリマー鎖に歪がかかり共役構造が壊されたためではない。DCHで見られる赤い呈色との関係を明らかにするためにTCDUポリマー結晶のX線構造解析を行なったが、TCDUポリマー鎖の共役構造は青色を呈するDCHポリマー鎖のそれと比べて殆んど差がなかった。従って、DCHの色相転移に関する説明には新しい考え方の導入が必要である。 3.62年度に合成した非対称ジアセチレンCTPHDモノマー結晶(DCHの側鎖の一つを4ーメチルテレフタロイルに置換したもの)についてγ線によるトポケミカル重合反応が起きない理由を明らかにするため詳細なX線構造解析を行なった。結論は(1)モノマーの積層軸とモノマーの分子軸が68°となって理想値45°から大きくはずれていること、(2)積層方向の格子定数が4.12〓で理想値〜5〓より短いことが重合しない主な原因である。この結論はボーマンの経験則を満たしている。
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[Publications] 松山奉史: 電気学会第3回誘電・絶縁新素材専門委員会資料. NM3ー4. 1-5 (1987)
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[Publications] 松山奉史: 第11回山田科学振興財団事業報告書(1987度). 102-104 (1988)
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[Publications] 松山奉史: 日本物理学会第43回年会予稿集. 第2分冊. 263 (1988)
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[Publications] Tomochika Matsuyama: Preprint of 32nd International Symp.on Macromol.235 (1988)
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[Publications] Tomochika Matsuyama: Synthetic Metals. 28. D705-D710 (1989)
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[Publications] 松山奉史: 京都大学原子炉実験所KURRIーTR. 312. 116-122 (1989)