1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 , 工学部・航空学科, 助手 (30010911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 義 工学部, 航空学科, 教授 (30013733)
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Keywords | 延性破壊 / ボイドの発生成長 / 超音波 / 応力3軸度 / 寸法効果 / 軟鋼 / 延性 / 脆性遷移 |
Research Abstract |
破断試験中の試験片に超音波を通し, その減衰を測定することにより破断直前の試験片中でボイドの発生・成長の様子を連続的に調べた. 超音波の測定は, 試験片の両端面にトランスデューサを張り付け, 一方を送信, 他方を受信に使用する透過法にて行なった. 周波数は11MHz, 超音波繰り返し数約2KHzである. 試験片は, ボイドの発生因子となる第2相粒子のパーライトを多く含むS45CおよびS55Cの材料を使用し, 応力3軸度の影響を調べるため, 各々の材料に対して5種類の形状の異なる試験片を使用した. また破断後, 試験片破面のディンプルの分布状況を観察することにより, ボイドの発生・成長の様子を推測し, 超音波による測定結果との関連を定性的に検討した. その結果, S45C材では応力3軸度が大きい試験片ほど, 早い時期(破断前約10ms)から超音波の減衰が大きくなっており, この事は, 破断面の観察による, 応力3軸度が大きい試験片ほど大きなディンプルが増えその面積含有率も大きくなっている事と対応していると思われる. 一方, S55C材においては, どの形状の試験片にも応力3軸度の影響と見られる超音波の減衰の様子は顕著には現われていない. これはS55C材の各試験片の破断面中心付近ではディンプルが非常に少なく, 破断の主要因がボイドの発生・成長よりもへき開である事によると考えられる. このような結果から, 試験片中を伝播した超音波の減衰を測定することにより, 引っ張り破断実験中のボイドの発生・成長に関する情報を, その途中の段階で知ることが可能であるように思われる.
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