1988 Fiscal Year Annual Research Report
襲雷時の地上電界分布の過渡推移観測からみた電力施設への雷撃予測
Project/Area Number |
62550200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鬼頭 幸生 名古屋大学, 工学部, 教授 (00023044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻野 仁志 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (50042932)
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Keywords | 雷現象 / 夏季雷 / 冬季雷 / 針端コロナ電流 / 空間電界計 / 対地雷放電 |
Research Abstract |
この研究は大きく二つの内容からなり、一つは多地点における地上電界ならびに針端コロナ電流の長期連続測定および他の一つは雷雲下の地上付近における空間電荷発生の時間的推移の検出である。これにより雷雲の規模とその下における電力施設周辺の電界の実態を明らかにしようとしている。初年度に引き続いて実施された本年度の研究の実績と成果の概要は次のとおりである。 1.針端コロナ電流の多地点観測を実施し、地上電界の極性分布についてデータを蓄積した。針電極の管理を徹底しコロナ電流のレベル値により地上電界の強度を識別し、その強度分布が求められることとなった。 2.自然雷発生時における針端コロナ電流のパルス性変化について、その発生機構を実験と理論により考察した。実験は夏季雷(愛知県)と冬季雷(石川県)について実施した。周波数特性の低いペンレコーダには静電界の大きな変化が記録されていることが明らかとなった。 3.送配電線等の電力施設への電撃予測の基礎研究として、冬季雷発生時の地絡保護装置の動作状況を調査し対地雷放電と関連づけた。また、架空地線への落雷時に予想される素線溶融について実験的に検討した。 4.雷雲下の空間電荷の形成・消滅過程について引き続き実験した。今年度は空間電界計の詳細な校正実験を実施して、得られたデータを相関係数により定量的に検討した。また、独立避雷針の保護範囲内での電界強度と範囲外の電界強度とを実験により比較した。避雷針近傍の電界の低減状況について極めて貴重な結果を得て、現在解析を進めている。 5.第1項で述べた地上電界分布と対地雷放電の相関を調べる目的で、特に落雷地点の正確な標定方法として2方向からVTRカメラにより雷放電路の観測を行った。観測視野内への落雷が5件と少なかったが、来年度も継続して観測を実施する予定である。
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[Publications] 鬼頭幸生、水野保: 電気学会論文誌 B. 108. 577-584 (1988)
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[Publications] 櫻野仁志、堀井憲爾: RESEARCH LETTERS ON ATMOSPHERIC ELECTRICITY. 8. (1989)
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[Publications] 櫻野仁志、松原亮滋、村下直久、鬼頭幸生: 電気学会論文誌 B. (1989)
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[Publications] 櫻野仁志、五十住晋一、鬼頭幸生: 電気学会放電・高電圧研究会資料ED-88-82/HV-88-43. 53-62 (1988)
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[Publications] 五十住晋一、鬼頭幸生、堀井憲爾、櫻野仁志: 昭和63年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集. 100 (1988)
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[Publications] 五十住晋一、鬼頭幸生、櫻野仁志: 平成元年電気学会全国大会講演論文集. (1989)