1987 Fiscal Year Annual Research Report
新らしい不飽和浸透方程式に基づく降雨の浸透過程に関する研究
Project/Area Number |
62550365
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 正 北海道大学, 工学部, 助教授 (80111665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 和義 北海道大学, 工学部, 助手 (70001328)
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Keywords | 不飽和浸透 / 流出解析 / 降雨流出 / 数値解析 |
Research Abstract |
本研究においては次の2つのことについて理論的, 数値解析的に検討が加えられており, 実験及び屋外観測の結果と比較されている. (1)降雨の土壌中における鉛直浸透においては水分子やトレーサーの降下速度よりも水分分布の移動降下速度のほうが1オーダー大きい. (2)土壌中における水分と圧力の間にあるヒステリシス現象を表現する不飽和浸透の新しい基礎方程式の樹立すること. 上記(1)については従来のRichardsやKluteの不飽和浸透の基礎式を検討した結果, 降雨の鉛直浸透においては雨水はいわゆるKinematic Waveとして鉛直降下することがわかった. そして水分やトレーサーはK(s)/sの速度で, 一方"水分波"の速度はdK(s)/dsの速度で鉛直降下することがわかった. ここにK(s)は不飽和透水係数, sは水分量である. 一般に不飽和透水係数はK(s)=axs^mの形をしていることが多いが, これによりトレーサーの速度はK(s)/s=axs^<(m-1)>, 一方水分波の降下速度はdK(s)/ds=axmxs^<(m-1)>となり両者はm倍値が異なることになる. これが水分分布の降下速度がトレーサーの降下速度よりもかなり大きい直接の原因である. 次にヒステリシスに関しては不飽和にまで拡張したダルシー則に対してさらに時間遅れの項あるいは緩和時間をもつ項をつけ加えることにより上述の基礎方程式を修正した新しい方程式を導出した. この方程式は非線形の移流項をもつ電信方程式のタイプになっており, 波動も表わす項がつけ加わっている. これにより圧力の急激な変化に対して慣性をもつ水分はそのまますぐにはついていくことはできず, これが水分と圧力の間のヒステリシスを産みだしている. この方程式を数値的に解くことによりこの新しい方程式のもつ解の特性を検討した. この結果上記の方程式は実験結果をよく説明しているのみならず, 降雨強度がある値よりも大きくなると圧力は上述のKinematic Waveの波速よりもさらに一回りおおきい速度をもって鉛直降下する事がわかった. さらにこの現象が地下水の観測においてよくしられている降雨に対する地下水位の異常に速い上昇の原因になっているのではないかと推測される.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山田 正: 土木学会北海道支部論文報告集. 43. 199-204 (1988)
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[Publications] 山田 正: 土木学会年次学術講演会講演概要集. 42. 122-123 (1987)
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[Publications] 山田 正: 水理論演会講演論文集. 32. 83-88 (1988)
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[Publications] 山田 正: 土木学会北海道支部論文報告集. 44. 271-276 (1988)
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[Publications] T.Yamada: J.Hydrology.
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[Publications] 山田 正: 土木学会論文集.