1987 Fiscal Year Annual Research Report
還元拡散法による希土類機能性材料の製造に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62550483
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 修 東京大学, 工学部, 助教授 (30010995)
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Keywords | 還元拡散法 / 希土類磁石 / カルシウム / サマリウム / ネオジウム / 拡散 |
Research Abstract |
還元拡散法による希土類磁石の製造においては, 金属カルシウムが溶融した直後に還元反応が急速に進むこと, 及び, 溶融した金属カルシウムは粉末試料中に速やかに浸透することが観察されている. その場合には, 還元反応で生成した金属サマリウムやネオジウムが, 過剰に存在する溶融カルシウム中に溶け込むことによって試料全体に行く亘り, コバルトや鉄の粉末中に拡散すると推定されるので, これを確かめるために, 溶融Ca-Sm合金とコバルト試片, および溶融Ca-Nd合金と鉄試片の面での拡散実験を行なった. 金属カルシウムの使用量は希土類酸化物の通常1.5倍当量であるから, 生成したサマリウムやネオジウムが全て過剰のカルシウム中に溶け込むと83wt%程度の希土類含有量となる. しかしながら, このような組成の溶融合金中にコバルトや鉄の試験片を浸すと, 900°C程度の低温でも5分以内に試験片が溶失し, 拡散実験を行なうことができなかった. そこでサマリウムとムオジウムを量を次第に減らした結果, カルシウムを90wt%にすれば試験片の溶失をかなり抑えられることが分った. ただし, このような組成ではカルシウムの蒸気圧が高く, 実際の還元拡散法で要求される温度である1100〜1200°Cでの拡散実験を行なうことはできないので, 止むなく930°Cにおいて実験した. その結果, コバルト試験片へのサマリウムの拡散は, 光学顕微鏡とEPMAによって確認されたが, 未だ拡散層の同定を行なうには至っていない. 一方, 鉄試片とCa-Nd合金の場合には, 30分程度の浸漬で薄い拡散層らしいものが現われたが, さらに時間を延長しても, この層内にNd-richな結晶粒が現われて, それが時間の経過と共に細かくなるだけで, 拡散層が試片内部に広がる様子は見られなかった. この原因は未だに不明で, 今後実験を続けて行く上で, かなり大きな問題である.
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