1988 Fiscal Year Annual Research Report
還元拡散法による希土類機能性材料の製造に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62550483
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 修 東京大学, 工学部, 助教授 (30010995)
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Keywords | 拡散係数 / 還元拡散法 / サマリウム / コバルト |
Research Abstract |
前年度の経験に基づいて、今年度はSm-Co系の拡散過程に的を絞って研究を行った。溶融Sm-Co合金とCoブロックによる拡散実験では、拡散に先立ってCoブロックの表面がSm-Ca合金中に溶け出すことが避けられず、しかも、この溶け出しが均一に進行しないために、得られた拡散層の厚さが不均一で、拡散係数の決定に支障を来たした。そこで、溶融Sm-Ca合金の蒸気とCoブロックを接触させる方法に切り換えたところ、かなり均一な拡散層が得られたので、以後はこの方法を採用した。ただしこの方法では、最も外側に成長すうSm_2Co_7の拡散層が不安定で、粗研磨した試料面の観察では認められても、鏡面仕上げ中に失われることが多く、EPMAによる相の同定(線分析)および拡散層厚さの測定は殆ど行えなかった。最も成長の速い相はSmCo_5で、その内側にSm_2Co_<17>がわずかに成長した。実験温度は1000℃から1200℃までを対象としたが、1000℃では拡散が非常に遅く、また、1200℃では再びCo表面の溶解が起きることもあり、満足すべきデータが得られていない。結局1050、1100および1150℃でSmの拡散係数が求められた。 本研究で採用した方法においてSm-Ca合金の代わりにSm_2Co_3とCaチップ、Coブロックに代えてCo粉末を用いたところ、反応生成物のCaOをあまり含まないCo-Sm合金が得られた。この方法は言わば「還元・揮発・拡散」と呼ぶべきもので、比較的蒸気圧の高いSm等には有効な方法であると思われる。 また、一旦SmCo_5の層を大きく成長させた試料を、次にSm蒸気のない条件で1100〜1200℃に加熱すると、SmCo_5相からSm_2Co_<17>相へSmが拡散することによってSm_2Co_<17>相が大きく成長することも確かめられたので、還元拡散法による2-17系Sm-Co磁石材料の製造につながる有望な方法として、今後も検討する予定である。
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