1987 Fiscal Year Annual Research Report
チタン/鋼複合材料における接合界面生成物の制御と加工特性の改善に関する研究
Project/Area Number |
62550495
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
桃野 正 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10002940)
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Keywords | 拡散接合 / クラッド / 複合材料 / 接合強さ / チタン(又はチタン合金) / 界面反応 / インサート材 |
Research Abstract |
チタンと鋼の接合界面組織の制御を主な目的として, 真空拡散接合法による接合実験を行ない, 接合継子強さに及ぼす(1)接合面の仕上げ条件, (2)接合過程における加熱温度プロセス, (3)インサート材の開発の3項目を検討した. 得られた研究の成果は次のとおりである. 1.チタン/鋼界面にはチタン炭化物(TiC)が形成される場合とチタンー鉄化合物(TiFe, TiFe_2)が形成される場合とがあり, これらが接合界面に混在することによって著しい接合強さの低下が生じる. 2.このような化合物相の混在は, 接合面の仕上げ条件に起因する. すなわち, チタンと鋼の初期接触部にはTiCが形成され, 脱炭層が生じた鋼とチタンとの接合部にはTi-Fe系化合物が形成される. 3.チタンはα【double half arrows】β変態温度(Tr:882°C)以下では結晶系がHCPで高温変形し難く、Tr以上ではBCC構造となり、変形抵抗は1/10程度となる。またTr以下ではTiCの形成が顕著であり、Tr以上の温度範囲ではTi-Fe系化合物の生成が支配的となる。よって接合は、Tr以下の温度でTiCを界面に形成させ、次にTr以上の温度範囲でチタンの変形を促進させ、未接合部を減少させる2段階の加熱プロセスが、接合強さの向上に極めて有効である。 4.純チタンの替りにチタン合金(Ti-6Al-4V)を用いると, さらに継子強さは向上する. 本研究の範囲内では最大36kgf/mm^2の接合強さを示し, かつバラツキの少ない安定した強度が得られた. これは接合がTiCのみによってなされ, 1000°C以下の接合温度域では, TiCが界面に薄く均一に形成されるためと考えられる. 5.純チタン/鋼クラッド材の製造に, Ti-6Al-4V合金箔をインサート材として用いることによって, 高い界面接合強さを有する複合材料が得られる.
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[Publications] 桃野正,小林雅之,及川和俊,井川克正: 鋳物.
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[Publications] 桃野正,小林雅之,圓城敏男,菊地靖志,池内建二: 日本鉄鋼協会講演論文集「材料とプロセス」 鉄と鋼. VOL1,NO2. (1988)
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[Publications] 桃野正,小林雅之,圓城敏男,菊地靖志,池内建二: 日本鉄鋼協会講演論文集「材料とプロセス」 鉄と鋼.